労した時間が長かったものの、「それでもここでやっていきたい」と思わせる魅力があるという場所。ベイエリアでの暮らしについてプライベートシェフの鹿山早苗さんに話を聞いた。
ベイエリアに住むことになった
きっかけ
海外生活に憧れ、語学学校に1年留学するためにサンフランシスコへやって来ました。当時はオークランドに住みながら、サンフランシスコの学校へ通っていました。
ベイエリア最初の印象と今の印象は?
憧れで渡米してきたので、目に映るもの全てが格好良く、当時のオークランドの治安の悪さや街の汚ささえもアメリカだな〜とどきどきしていました。古い建物や家も多く、街並みがすてきだなと感じていました。
あなたにとって、どんな場所ですか?
第2の人生を作り上げてくれた場所です。留学、就職、結婚、離婚をアメリカで経験して苦労した時間が長かったのですが、それでもここでやっていきたいと思わせる魅力があります。多人種、多文化で周りの方もいろいろな経験をされているためか、何かあるとすぐ助けてくれますし、刺激ももらえたり、支え合って暮らしていける場所だと感じます。

自分の専門分野は?
主に調理をする仕事に携わっています。レストラン勤務、シルク・ドゥ・ソレイユのツアーシェフを経て、現在はプライベートシェフとして、テック関係の会社を経営しているCEOの方のお食事を作っています。レストラン時代と違って、栄養バランスに重点を置きつつ、おいしさを追求しなければいけないのでメニュー作りに日々奮闘しています。それ以外に週1回、たこ焼き&居酒屋の屋台をやっています。こちらはB級グルメをスクラッチから作りたくて始めました。
その道に進むことになったきっかけは?
高校生の頃に居酒屋のキッチンでアルバイトをしていて、とても楽しかったので、料理の道へ進みたく、卒業後フランス料理店に就職しました。アメリカ留学後はカルフォルニア料理を勉強するために、いくつかのアメリカンレストランで働いた後、プライベートシェフのお仕事をいただきました。
英語を使って仕事をするということについて思うことは?
失礼な言い回しになっていないか、不快に感じさせる英語を使ってしまっていないか、いつも不安を感じています。
英語での成功体験、失敗体験があれば教えてください。
成功体験ではありませんが、レストランで働いていた当時、発音が悪く聞き取ってもらえないことも多かったのですが、仕事仲間が「そのアクセントは早苗の個性だから直す必要はない」と言ってくれた時は元気をもらいました。それからは発音の悪さはあまり気にしていません。失敗体験は、仕事仲間同士とても仲良く、みんながいつも「Love you! See you tomorrow!」と言い合っていたので、その言葉を他の人に使ったら引かれました。
あなたにとって仕事とは?
人生の芯です。仕事は私の人生に必要な大半のものを生み出してくれます。例えばエネルギー、充実感、楽しさ、勉強、チャレンジ、お金など。
子供の頃に就きたいと思っていた職業、理由も教えてください。
フリースタイルのスキー選手。ハーフパイプやキッカーを跳ぶ、フリースタイルのスキーをやっていたので選手になりたいと単純に思っていました。
もし今の仕事に就いていなかったら、どんなことをやっていたと思いますか?
骨董(こっとう)屋さんです。両親が和骨董のお店、兄がアメリカン骨董のお店をやっているので買い付けを手伝っていて、とても楽しいです。私自身、古い物が大好きで家の中はそういう品々で埋め尽くされているので、これがお仕事だったらそれもまた最高ですね。
現在、どんなおうちに
住んでいますか?
3ベッドルーム2バスルームの一軒家(借家)に住んでいます。1950年代のお家で古い内装が残されているので、古いもの好きな私としてはお気に入りです。
休日はどんなふうに
過ごしていますか
プライベートシェフのお仕事のお休みを使って、週1回ポップアップのたこ焼き&居酒屋の屋台をやっています。それ以外はバイクで走りに行ったり、アンティークハンティングや犬とドライブに行ったりしています。

ベイエリア、および近郊で好きな場所はどこですか?
サンタクルーズです。
お気に入りのレストランは?
サンフランシスコにある「State Bird Provisions」です。好きなレストランはいっぱいありますが、ここは特にお気に入りです。
よく利用する日本食レストランはどこですか?
サンタクララにある「Ramen Hajime」で、月2回のペースで伺っています。
もし、宝くじで100万ドル当たったとしたら、その使い道は?
アンティークを買い集めたいです。ビンテージカーもほしいです。
日本に戻る頻度は?
年に1度は帰国していましたが、コロナ禍が始まってから3年以上帰っていません。
最近日本に戻った時に思ったこと、考えたこと、感じたことは?
皆さん、本当におしゃれだなと思います。電車に乗ると、自分の格好が恥ずかしくなります。
日本へのお土産は
何を持っていきますか?
カルフォルニアワインです。
日本からベイエリアに持って帰ってくるものは?
日本の骨董品(食器類)をスーツケースいっぱいに買って戻ってきます。
現在のベイエリア生活で不安に感じることは?
水不足でしょうか。芝生などに水を使わないように気をつけています。
おすすめの観光地は?
観光地ではないですが、オハイにある「Ojai Rancho Inn」とロシアンリバー沿いにある「AutoCamp Russian River」という宿泊場所。建物や部屋の作りがとてもおしゃれで、値段もリーズナブルです。家ではない場所でゆっくり時間を過ごすのに最適です。どちらもドッグフレンドリーなのもありがたいです。

5年後の自分に期待することは?
自信を持てる自分になりたいです。
座右の書は?
『ニーチェの言葉』です。生活していると心が穏やかになれないことって多々あると思うのですが、そんな時にフラットな気持ちに戻してくれる一冊です。
最近読んで印象に残っている本は?
最近は料理書ばかりです。
これまで見た中で影響を受けた、または印象に残っている映画は?
『パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー』です。
最近見て印象に残っている映画は?
『ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶』です。
自分を動物に例えると?なぜ?
ブタ? 食べるのが大好きでいつも食べています。ブタみたいにコロコロしているので。
座右の銘は?
花より団子。
プロフィール
鹿山 早苗
/
Sanae Shikayama
高校卒業後、フレンチレストランに就職。サンフランシスコに語学留学後、カナダのサーカス興行会社シルク・ドゥ・ソレイユのツアーシェフとして働く。その後、サンフランシスコに戻り、レストラン勤務を経てプライベートシェフに。週1回、たこ焼き&居酒屋のポップアップ屋台を運営している。Instagram@daruma.kiosk