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国・文化を超えて花の魅力届けたい -マックスウェル田中千華-

2022.09.28

配信

フラワーデザインをさらに学ぶために、ヨーロッパで5年過ごした後、ベイエリアに移った田中さん。ヨーロッパとの違いに驚いたと語る田中さんに当地での暮らしについて聞いた。

 

ベイエリアに住むことになった きっかけ

2004年に日本を出てヨーロッパで5年過ごした後、アメリカはどんなところだろうと思い2009年に渡米。サンフランシスコの花屋さんが受け入れ先となってくれました。1年半の契約で帰る予定だったのが、夫と知り合い結婚することになり現在に至ります。

 ベイエリア最初の印象と今の印象は?  


来た当初はアメリカについての予備知識が全くなく、ヨーロッパや日本とのギャップに驚いてばかりでした。町並みや文化、人の振る舞いや考え方など…。13年経った今はいろいろなことに慣れましたが、気候に関してはもう少し雨が降って緑豊かな景色を見たいな、とはよく思います。

 あなたにとって、どんな場所ですか?  


マイノリティーとしてアメリカ社会の中で仕事をする上で大変な思いもたくさんしてきましたが、全ての経験は自分を大きく成長させてくれたと今は思います。そしてなにより、優しい夫と出会わせてくれたこの土地には感謝しています。

 自分の専門分野は?  


フラワーデザイナーとして、花束やアレンジメント、冠婚葬祭などの装花をつくる仕事をメインにしてきました。海外に出てからは生け花の勉強を一からやり直し、2019年に草月流生け花の師範資格を取得。現在は個人でお花のオーダーを受けたり、お花を楽しみたい方たちのためにレッスンを提供しています。花の魅力を感じてもらうきっかけになればとコロナ禍から始めたインスタグラムでは、四季折々の花作品や生け花のトレンドを紹介しています。

 その道に進むことになったきっかけは?  


子供の頃に自宅で祖母が生け花の教室を開いており、花はとても身近な存在でした。ただ、当時は生け花の魅力が理解できず、華やかなフラワーデザインに引かれ、習い始めてからは夢中でレッスンに通っていました。そのうちに習うだけでなく仕事にしたい、本場のヨーロピアンデザインに触れたい、という気持ちが抑えきれなくなり、事務の仕事を辞めてイギリスに渡ることになりました。

 英語を使って仕事をするということについて思うことは?  


花の仕事では言葉は拙くてもお花で表現できたのもあり、接客の際に支障を感じることはそれほどありませんでした。上司・同僚とのコミュニケーション、特に作業中に延々と続く雑談の場が一番英語力を鍛えられ、学べる場となっていたように思います。やはり言葉が流ちょうで語彙(ごい)が豊富だと、大切な場面で相手に訴えかける説得力がまるで違うと痛感しました。  

生け花の展示会などで行うデモンストレーションでも、こちらの人たちはまるで世間話をしているかのように観客を巻き込みながらジョークも混ぜて生けていきます。いつかそんなふうに堂々と話せるようになれたらな、と思います。

 英語での成功体験、失敗体験があれば教えてください。  


電話で初めて話す人に聞き返されずにオーダーを取れた時は全て、私の中では「成功」です!  「失敗」は、英語そのものというより、相手の文化的背景や考え方を知らずに何気なく発した一言が不快にさせてしまった、というようなことです。自己紹介で相手の両親がそれぞれ違う国の人と聞き、「あなたはハーフなのね、私は純日本人よ!」と、ハーフのほうがかっこよくてうらやましいわという意味で言ったのが、「だから何なの。純血がそんなに偉い?!」と…。英語ではとっさに上手なフォローの言葉も出てこないので、それからは言葉にする前によく注意するようにしています。

 あなたにとって仕事とは?  


天職です。ありがたいことに大好きで仕方のないことを仕事にできているからこそ、お花を通じてたくさんの人たちに笑顔になってもらいたいと思っています。  アレンジメントをする時は「このお花たちが誰かを幸せにしますように」との思いを込めて、教える仕事をしている時は「お花の楽しさを存分に体感してもらえますように」という思いで取り組んでいます。

 子供の頃に就きたいと思っていた職業、理由も教えてください。  


フライトアテンダントです。子供の頃から、広い世界を飛び回ることに憧れていたようです。

 もし、今の仕事に就いていなかったら、どんなことをやっていたと思いますか?


それでもお花や植物に関係することをしていたと思います。

 ベイエリア、および近郊で好きな場所はどこですか?  


ウッドサイドの「フィロリ」庭園と、ハーフムーンベイの街並みです。

 よく利用する日本食レストランはどこですか?  


サニーベールの「Tanto」と サンタクララの「Leichi」です。

 もし、100万ドル当たったとしたら、その使い道は?  


自然の中で風や光を感じながらお花を楽しんでもらえる庭園を作りたいです。ガーデンの一角にレッスンスペースと茶室を設け、庭で育てたものを摘んできて生けてもらう。お稽古後はおいしいお茶を頂いて…。夢は広がります。

 日本に戻る頻度は?  


年に3〜4回です。

 最近日本に戻ったときに思ったこと、考えたこと、感じたことは?  


やっぱり日本はきちんとしていて安心できる。善良な人が多くてほっとするなぁ、と。 高速道路上で車のトラブルがあり青くなっていたのですが、保険会社に電話してから30分でレッカー車、家までのタクシーが到着。修理会社への連絡、レンタカーの手配も完了。お話ししたすべての人がまず私の話をしっかり聞いて信じてくれて(ここが本当に感激!)、けがはないかといった気遣いや足の不自由な父の世話もしてくれ、もう信じられないくらい皆さん親切で全てがスムーズでした。そして誰もチップを要求してきませんでした。

 日本へのお土産は何を持っていきますか?  


See's Candy などのチョコレート系と、ナッツ類。

 日本からベイエリアに持って帰ってくるものは?  


生け花用の花瓶、道具、書籍。小説。調味料やお菓子など。

 現在のベイエリア生活で、不便を感じる時は?  


気軽にふらりと行って1日過ごせる、岩盤浴つきのスーパー銭湯が一軒でもあれば‥・と思います。

 現在のベイエリア生活で不安に感じることは?  


治安の悪化、物価高、それに年々暑くなっていること。人々の心が荒むようなことがこれ以上起こらないよう祈っています。

 日本に郷愁を感じる時は?  


両親、日本の家族を思い出す時です。毎日思ってはいますが、そばにいたらもっといろいろなことが一緒にできるのに、と考えてしまいます。

 おすすめの観光地は?  


シリコンバレーならではのテック企業巡り。日本から知人が来た時にお付き合いで行ってみたら、興味のない私でも十二分に楽しめました。

 永住したい都市は?  


日本の故郷、イギリスのロンドン、カナダのビクトリア。

 5年後の自分に期待することは?  


健康で喜びをもって働き続けていること。ますます多くの人たちとお花の喜びを分かち合っていたいです。また、アメリカの良いところをもっと見つけていたいです。

 最近読んで印象に残っている本は?  


随分前ですけど、東野圭吾の『白夜行』と『幻夜』。

これまで見た中で影響を受けた、または印象に残っている映画は?  


『はだしのゲン』『永遠の0』など、戦争に関する映画です。今の私たちが当たり前だと思っている生活は、どれだけ尊いものなのかと考えさせられます。

 最近観て印象に残っている映画は?  


『Drive My Car』です。

 座右の銘は?  


「一日一花」。日々勉強。お花を生けることができない日でも、心には優しい花を咲かせていたいと思います。

プロフィール

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Chika Tanaka Maxwell

フラワーデザイナー、生け花・アレンジメント教室主宰。日本でフラワーデザインを5年学び渡欧。イギリス・オランダでの花屋勤務を経て、現在はベイエリアで草月流生け花と季節のフラワーアレンジメントの教室「希草いけばな」を主宰。日々の花作品やクラス詳細をインスタグラム(@kiso_ikebana)で公開中。

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