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多文化を経験した 自分だからなれる教師に ーウォン 聖湖一

2022.09.07

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幼少時に海外で過ごし、多文化を経験した。同じように多文化の中で暮らす子供の気持ちに寄り添える教師になりたいと語るウォンさんに、ベイエリアの暮らしについて聞いた。

 

ベイエリアに住むことになった きっかけ


父の2度目の海外赴任先がアメリカ・ベイエリアに決まり、このチャンスに英語を習得しようと高校の卒業と同時に、家族と一緒に渡米することにしました。語学学校からのスタートで、コミュニティーカレッジだけで日本に帰るつもりでしたが、その後4年制大学に編入して、卒業、就職、結婚を経て永住となりました。

 ベイエリア最初の印象と今の印象  


青空がまぶしくて気候のいい地域。アジア人や他の人種が多く、いろいろな国の物が食べられるので、初めの1年ですごく太りました。当時は家の値段が今と比べて安く、サンカルロスに両親と住んでいましたが、3000ドル弱で3階建ての5ベッドルームのプール付きの一戸建てを借りて住んでいました。サンルイスオビスポにある大学での一人暮らしもスタジオでしたが300ドル台で、その後、友達と住んでいた2ベッドルームのアパートも1000ドル弱でした。あのころに比べて、今の物価高騰が恐ろしいです。

 あなたにとって、どんな場所ですか?  


ベイエリアは自分の居場所だと感じます。気候も素晴らしく、多人種多文化社会で、私にとってとても住みやすい場所です。日本にいた時は、日本人なのに帰国子女というだけでみんなとは違う扱いをされている感じがして、アメリカの田舎に住んでいた時はアメリカ人には外国人扱いを受けている感が拭えなくて、自分がどこにも属していないアイデンティティーロスを感じていました。ここベイエリアは、私にとってはそれをあまり感じない、自分自身でいられる居場所です。

 自分の専門分野について  


サンノゼにある日本語学校「わかば学園」で教師をしています。児童の家庭言語がさまざまなので、そのクラスのレベルに合わせて分かりやすく、ゆっくりなペースで日本語を教えています。わかば学園では月に一度、文化イベントもあり一緒に体験しながら、日本文化についても学ぶことができます。同じ教育理念を持つ学園長と先生方と共にチーム一丸となって、指導法を工夫・改善し、魅力ある授業をすることに努めています。



 その道に進むことになったきっかけ  


以前はアメリカの建築業界に携わっていてデザイン会社に勤めていたのですが、子供ができてからは両立するのが難しくなり退職。その後、自分の子供たちの学校などでボランティアをして、子供に接する仕事、子供たちに教えることに魅力を感じ、わかば学園でアシスタントを経て教師になりました。

 英語での成功体験、失敗体験があれば教えてください  


大学時代の話ですが、自分のアイデンティティーが分からなくなったことがあり、ふさぎ込んでいた時期がありました。その時に自分の専攻の大学教授が心配して相談にのってくれたのですが、彼に「どこにも属さず、自分自身でいるグローバルシチズンでいればいい」とアドバイスをいただき、目からうろこが落ちて気持ちが随分楽になりました。

 あなたにとって仕事とは?  


日々チャレンジです。各児童の家庭での日本語学習の仕方が違うので、クラスに合うアプローチを模索して、児童と共に学び成長できる場です。わが子たちと近い年齢やそれより幼い児童もいるので、楽しいですし癒やされ、気持ちが若返ります。そして、児童の日本語学習で良い結果が出ると自分の子のことのようにうれしくなります。

 子供のころに就きたいと思っていた職業、理由も教えてください  


初めは花屋さんでした。祖母や母がよくお花を生けたりガーデニングをしたりしていて、私も花が好きになったので。その後は、幼稚園の先生、数学の先生でした。どちらも、その先生が好きだったのと数学が好きだったので。

 もし、今の仕事に就いていなかったら、どんなことをやっていたと思いますか?  


以前は公共施設デザインの仕事をしていたのですが、住宅デザインの仕事にも興味があったので、そちらの仕事をしていたと思います。

 休日はどんなふうに過ごしていますか。  


アクティブな夫と息子が3人いるので、休日はビーチやトレイルへ行ってハイキング、サイクリングや、テニスをしたり、基本的に外で体を動かしています。パパを含む男子4人についていくのがやっとです。

 ベイエリア、および近郊で好きな場所はどこですか?  


サンタクルーズやサウサリートで、ぼーっとのんびりするのが好きです。(なかなかのんびりはさせてもらえませんが)国立公園も好きで、年に数回ヨセミテ国立公園へ行きます。



 お気に入りのレストランは?  


夫が台湾系アメリカ人なので、中華料理をよく食べに行きます。「Lei Garden」「Red Hot Wok」「O2 Valley」「Din Tai Fung」「Koi Garden」など。あとコロナ禍前は週末にフリーモントへ中華料理店巡りをしによく行っていました。

 日本に戻る頻度は?  


子供が生まれてからコロナ禍前までは、毎年夏に一時帰国をしていました。今年は3年ぶりに帰国しました。

 最近日本に戻ったときに思ったこと、考えたこと、感じたことは?  


やっぱり蒸し暑い! でも日本の食べ物はおいしい!

 現在のベイエリア生活で不安に感じることは?  


日本に住む両親と台湾に住む義母にすぐ会いに行けないことや、今後その両親と離れていて介護が必要になった時にどうするか悩みます。

 永住したい地域は?  


ベイエリア、アーバイン、もしくはハワイ。

 5年後の自分に期待することは?  


日本語教師としての経験を積み、趣味である茶道やダンスをもっと楽しみたいです。

 最近読んで印象に残っている本は?  


『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(ブレイディみかこ・著)。息子さんのイギリスの学校で経験したことを母親であるみかこさんが書きつづっていて、同じく思春期の息子を持つ、アメリカで子育て中の私にとっていろいろ共感でき、一緒に考えさせられた本です。

 これまで見た中で影響を受けた、または印象に残っている映画は?  


『ホームアローン(Home Alone)』。渡米前、子供のころに観た映画です。アメリカの街はあんなすてきなのかと。でもあれは東海岸なので、こちらの建物や街自体は全く違いましたが。今も子供たちも好きな映画なので一緒に見ます。

 座右の銘は?  


「We have the ability to self define who you are. Break stereotypes, be your unique self.(あなたが誰であるかは自らが定義すればいい。ステレオタイプを破って、唯一無二の自分であろう。=意訳)。「I take my difference to make a difference.(私は人と違う強みをむしろ使って、変化をもたらすんだ。=意訳)。それから、「日々是好日」という禅語。月日に良い日悪い日はない。それは自分自身の心であって、あるがままを良しとして受け入れるべきだという教え。気分がダウンした時はこの言葉を考えるようにしています。

プロフィール

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Shoko Wong

わかば学園日本語教師。愛知県生まれ。幼少期に父親の赴任でベルギーに住み、日本帰国後、高校卒業と同時に父の2度目の海外赴任でベイエリアに。大学卒業後、建築デザイン会社に就職。結婚、出産を経て2019年からわかば学園で日本語教師に。多文化を経験した自分だからできる、多文化社会に住む子供の気持ちに寄り添える日本語教師が目標。

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