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仕事は自分を表現していく場 ー塚田 英次郎一

2022.08.31

配信

スタンフォード大学院留学で初めて訪れたベイエリア。時を経てこの地で自身の事業「Cuzen Matcha」を展開している。塚田さんにベイエリアの暮らしについて聞いた。

 

ベイエリアに住むことになった きっかけ


2004年、スタンフォード大学院へのMBA留学で初めてベイエリアに来ました。その後、日本との間を行ったり来たりして、19年にサントリーを退職し、サンマテオで「World Matcha Inc.」を起業。出張ベースで事業化を進め、21年から拠点をベイエリアに戻しました。



 ベイエリアの印象  


とにかく、空が青いのが印象的で大好きです。この気候では、IPA、ワイン、抹茶スパークリングがとにかくおいしいです。

 自分の専門分野について  


消費者に新しい価値を提案する新商品開発、新規事業開発が自分の専門領域です。前職では、「DAKARA」「Gokuri」「伊右衛門特茶」などの開発に携わり、サンフランシスコで抹茶カフェ「Stonemill Matcha」を立ち上げました。起業後は抹茶マシン「Cuzen Matcha」を発明しました。例えるならエスプレッソマシンの抹茶版。家庭で簡単に「ひきたての抹茶」が作れます。ストレート、ラテにしたり、炭酸水と合わせてスパークリング抹茶にしたり、さまざまな飲み方で毎日楽しめます。



 その道に進んだきっかけ  


長年、新商品開発に携わり、成果を出し続けたことが大きな自信になりました。スタンフォード大学院への留学も大きなきっかけです。起業家が絶対的にリスペクトされている環境下で、大企業に勤めることのリスクも学び、修了する頃には、「自分もいつか起業できるかも?(そうしたい!)」と思うようになりました。

 あなたにとって仕事とは?  


人生において、極めて重要な一部分であり、自分に与えられた役割を全うして、自分を表現していく場だと思っています。

 英語で仕事をするということ  


あまり言い訳はできないのですが、これまで投下してきた学習時間の割には決してうまくないので、「あまり得意ではない」という現実を受け入れて、日々対策しています。具体的には、日本語では、つい考えながら話してしまいますが、英語ではそれがうまくできないので、普段からいろいろなことを考え、自分の意見を持っておくように心掛けています。そうすることで、仕事におけるだいたいのことでは、スムーズにコミュニケーションを取れます。



 生まれて初めて就きたいと思った職業  


子どもの頃は、プロ野球選手に憧れていました。ただ、小学校高学年の頃には、自分には適性がないことは分かっていました。

 今の仕事に就いて いなかったら  


「大学卒業後に外資系の投資銀行に行っていたら、どういう人生になっていたのだろう」とたまに思います。当時の自分は、投資銀行の仕事を正しく理解することはできず、どうしても行く気になれなかった。その後、スタンフォードに留学して、初めてそれを理解し、楽しそうだと思いましたが、時すでに遅し。投資銀行に行ってたら、MBA留学をするにも、おそらくスタンフォードには受からないので、ベイエリアには来ず、このコーナーに登場させていただくこともなかったでしょう。人生は分からない。

 現在、住んでいる家  


現在は単身赴任です。ベイエリアは家賃も高いのでサンラモンにある一軒家のシェアハウスに住んでいます。 好きな場所  スタンフォードのオーバル(広場)。自分にとっての原点。緑の芝生の上で深呼吸すると元気をもらえます。先日はここで、「Cuzen Matcha」を使って、野点(のだて)をしてきました。

 最もお気に入りのレストラン  


フェリービルディングの「Hog Island Oyster」の屋外席で、ワインとカキとクラムチャウダーを食べたら幸せになります。

 日本に郷愁を感じるとき  


日本にいる家族、仲間には会いたいですが、郷愁というか、「ただただ無性に日本に帰りたくなる」なんてことはないです。ただ、ふと「あの焼き鳥屋に行きたい!」とか「あの店のカンパチを食べたい!」と思うことはあります。



 永住したい都市  


もちろんベイエリアが大好きですが、最近は仕事柄LAに行くことが多く、先日行ったオースティンも最高だったので、まだまだ、どこがいいか分からないです。

 5年後の自分に期待すること  


まずは心身健康で、毎日前向きに楽しく、周りに感謝しながら、生きていてくれたら、それでOKです。

 最も印象に残っている本  


『「超」入門 失敗の本質』(鈴木博毅・著)。『失敗の本質』は言わずと知れた名著ですが、ただただ難解なため、僕みたいな読書の苦手な人のために書かれたのがこの本。戦略とは何か、なぜ日本は失敗を繰り返すのか、とてもよく分かります。

 最近読んだ本  


『スタンフォード式 生き抜く力』(星友啓・著)は、昔ながらのアメリカ式リーダーシップではなく、「利他」の心で世界を導くとしています。とても分かりやすく書かれていて、自分の考えに近いと感じたので、考えを整理する上でも参考になりました。

 座右の銘は?  


スティーブ・ジョブズの「Have the courage to follow your heart and intuition.」という言葉。「Cuzen Matcha」を開発する前の数カ月、精神的にかなり追い詰められ、難しい時期を過ごしましたが、共同創業者の八田オオキや家族に、そしてジョブズのこの言葉に背中を押してもらい、今のチャレンジを始めることができました。自分の情熱、直感を信じて、行動する勇気。子供の頃は、勇気なんかなくても、情熱、直感に赴くまま動けていたのに、大人になって社会の仕組みに入ってしまうと、なかなかそこから抜け出せなくなる。ただ、勇気さえあれば、自分の行動は変えられるし、未来も変えられる。それを今実践しています。

プロフィール

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Eijiro Tsukada

1998年、サントリー入社。長年、茶事業の新商品開発・事業開発に従事。2013年に伊右衛門特茶の立ち上げ、18年に米国でStonemill Matcha創業に携わった後、19年に退職。World Matcha Inc.を起業。20年からCuzen Matchaを全米販売、CES 2020 Innovation Award、Time’s Best Inventions of 2020などを受賞。個人としてもFinancial Timesに「What the Steve Jobs of drinks is brewing up next」と題された記事で紹介された。

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