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特別インタビュー 神尾正太郎 最高料理責任者&共同オーナー

2022.08.10

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神尾正太郎シェフことSHO KAMIOの名を冠するSHŌグループは先ごろ、サンフランシスコのセールスフォースパークにオープンする食を中心とした施設の計画概要を発表した。5・4エーカー(約2万2000平米)の「空中公園」に出現させる米国初の囲炉裏和食レストラン「SHŌ」、そして2階にはカリフォルニア版のお寿司や和食タパスを提供するスカイラウンジ、また地上階にはテイクアウトの「おまかせ鮨Box」をメインに「SHŌブランド」のソースやドレッシング、厳選した日本酒、和食器やミニ盆栽などを揃える「SHŌマーケット」といった食のエンターテインメントの他に、レストラン業界では西海岸初のNFT(デジタル資産)ベースの会員制クラブ「SHŌクラブ」の創設も明らかになった。



今回発表したレストラン 「SHŌ」について教えてください。  

 今 数多くのIT企業やスタートアップが集まる、サンフランシスコの中心部に2018年8月、セールスフォースパークが一般に開園されました。同時にこの公園内に一つだけのレストランを作る計画には多くの企業が参入を試みたと聞いています。セールスフォースパークの立地上、今後100年ぐらいはサンフランシスコにこんな場所は出てこないという場所ですから、単にレストランをオープンするというだけでなく、ホスピタリティー事業において壮大なスケールのプロジェクトになるとチーム全員で認識しました。



レストランのコンセプトはどのように練ってきたのですか?   


私がオーナーシェフを務めるバークレーのレストラン「IYASARE」を通して、お客さんのニーズ、反応、売れ筋、市場、経済的な影響、値段設定などについてまで、常にいろいろなことを踏まえながら、次のチャプターで自分が何をやりたいのかということは日頃から考えています。 この計画を聞いた時は驚嘆しました。レストランはロケーションが非常に大事なビジネスです。じゃあ、この場所にどういう店を作るべきなのかと考えていくと、公共の場という要素があるので、自分たちのレストランの利益追求だけでなくて、コミュニティーと共栄共存していくことが大切だと感じました。この場所を通して、我々はどうやって食やホスピタリティーを通じて得たものをコミュニティーに還元できるのかを大きなテーマとしてチームで話し合い、事業コンセプトを練ってきました。

 今回、米国初の囲炉裏を使った料理を提供すると発表しています。そこで人と人の対話を生むという狙いは、コミュニティーへの接続という意味合いもあるように感じましたがー。   


それは大いにあります。人間がアクション起こすには何らかの「きっかけ」が必要です。コロナ禍を経て、人と会うことが心理的に難しいと感じている人や、出不精になっている人も多くいるのが現状です。人と会うには、集めるには人間本来の持つ「エネルギー」が必要ですよね。  



そんな背景で私の心をヒットしたのが日本古来からある「囲炉裏」でした。囲炉裏は家族というコミュニティーを育んできました。毎日火を起こし、家の中を暖めて、料理をして、家族みんながそこに集まってくる。そして囲炉裏の周りに座って、今日一日に何があったのかを話しながら酒を交わし、食事をする、夢を語らう、家族みんなでね。構造的にもまさに囲炉裏はコミュニティーを構築してきた「源」なんですね。  

その根源を米国で初めて紹介するのが私の今回の大きな挑戦でして、長さ12フィート(約370センチ)、幅4・5フィート(約137センチ)の大型囲炉裏を設置して、そこで囲炉裏料理をお見せしながら、お客様同士、そして我々とのコミュニティーを再構築するというのが一番の狙いです。



NFTベースの会員制クラブも新しいものですが、将来を見込んだもの、新しいチャレンジは意識していますか?


テクノロジーは世界のマーケットをダントツに引っ張っていますが、テクノロジーとアナログのバランスの取り方、使い方ということを協調させながら、人間本来の生き方、在り方を認識する必要があります。ずばり言いますが、「食文化」の無い街には人は訪れません。ベイエリアが世界トップのテクノロジー社会を君臨すれども「食文化」の統治せずでは、古き良き美食の街、魅力は衰退していくでしょう。  

テクノロジーで成功した人たちは、「食文化」がいかに人間のバランス感にとって大事だというのを理解しています。また支援もしてくれています。テクノロジーは生きるための、ビジネスのための道具であって、それが人間を支配するものではないと理解している。自分がどこにいるかということを認識して、スピードにつぶされない、自分を見失わない、人と人との接触がないといけないということも理解しています。  

同時に「和食イデオロギー」とでも言いましょうか、既にアメリカでの食生活の中で日本食は外せないものになっています。特に若い世代、僕の娘も「日本食はどこからどう生まれてきたものなのか、誰が考えたのか」ということから文化、言葉、料理人が使う包丁、まな板のことまで知りたがります。それはネット上で簡単に調べられることでありながら、実際に手で触れて、見て、匂いをかいで、食べるには、外に出ないと体感できない。皆、自分が何者なのか、どこから生まれて、どこからきたのか考えますが、料理も同じで、この料理がどこで生まれて、どこからきてどう発展してきたのか、特に次世代を担う若者達はそのDNAを知りたがっていると感じます。  

それができる場所とは、私の職業からいえば、ずばりレストランです。

レストランを中心に、プロジェクト全体を通じてより特別な体験やサービスを受けられるNFTベースの会員制クラブについて教えてください。    


NFT会員は会員限定メニューや専用ラウンジの利用、またプライベート空間の利用など、付加価値をつけていきます。会員のレベルによっても違いますが、最上位のレベルでは最終的には一緒に日本に行って、ツアーでレアなところを回るような教育的な部分も含んでいます。  



NFTの会員制クラブは、その中でも先見の明というよりも、先見のチャレンジと言えると思います。最初、NFTの話をSHŌグループのパートナーでCEOジョシュ・シーゲルから聞いたときは、私の中でもビッグクエスチョンマークでした。今回NFTに関してびっくりしたのは、レストランではありえなかったマーケティングの速さと範囲の広さです。われわれが西海岸初のレストランビジネスにNFTを導入することで、面白い方程式が生まれると思いますし、このトレンドはレストラン業界では今後、続いていくと確信しています。


10年後、20年後のご自身の姿はどう見えますか?   


もちろん老化していますよ。(笑)  

時間には勝てませんが、既にラスベガス、ニューヨーク、ハワイに進出する話はきていますが、まずはサンフランシスコでNFTを含めて、新しいレストランの形を作ります。これがうまくできれば、どこにでも恐れずに飛んで行ける、いや、“走り続けられる”と考えています。(笑)


SHŌ Group 8月に会員権を販売し始めるNFT会員制クラブ「SHŌ Club」の詳細、会員権販売に関する情報は、ウェブサイトで登録をすることで得られる。
【ウェブサイト】shogroup.com

プロフィール

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Shotaro Kamio

神尾正太郎シェフことSHO KAMIOの名を冠するSHŌグループは先ごろ、サンフランシスコのセールスフォースパークにオープンする食を中心とした施設の計画概要を発表した。

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