世界中から集まる「人」こそが「シリコンバレー」だと話す並木さん。自身のライフイベントが詰まっているこの地での暮らしについて聞いた。
ベイエリアに住むことになった
きっかけ
2011年にPwC東京からPwCデトロイトへの転籍で渡米し、ベイエリアには2015年から住んでいます。PwCデトロイトからPwCシリコンバレーに異動し、週末を利用してUCバークレーのMBAプログラムに通うためにベイエリアに引っ越しました。
ベイエリアの最初と今の印象
最初の印象は、「テック最先端って聞いてたけど、雰囲気はよくあるアメリカの郊外の街だな」ということ。現在の印象は、ベイエリアの真骨頂はここに世界中から集まる「人」で、それこそがシリコンバレーだと思っています。
あなたにとって、どんな場所ですか?
ライフイベントが詰まった場所です。カルフォルニアに住むきっかけになり、2人目の子供が生まれ、大学院に進学し、その後、転職をして、起業しました。子供の野球リトルリーグのコーチをしたり、小学校のPTAメンバーに選出されたり、コミュニティー活動もできているのがうれしいです。
自分の専門分野について
財務、会計(日米公認会計士)といった専門スキルは前職を通じて身に付けましたが、今は会社を経営しているので、経営戦略、資金調達、事業開発、人事労務など何でもやっています。2人で起業した「なんでもドラフト」は、正社員が6人に増えました。いいメンバーに恵まれていて、自分の一番の仕事はチーム作りだと考えています。
その道に進むことに
なったきっかけ
手に職をつけたかったので大学時代に公認会計士の資格を取り、将来的に海外で仕事がしたかったのでグローバルネットワークを持つPwCに入社しました。PwCでM&Aコンサルをしていたのですが、M&Aのメインプレーヤーである投資銀行に行きたいと思うようになり、MBA修了後バークレイズ・キャピタルに入りました。その後、人生を豊かにするために起業を決意しました。
英語を使って仕事をするということについて思うことは?
ベイエリアに来てから会社や大学院で周りに日本人がいなかったので、どうやってアメリカ人と同じ土俵で戦うのかを考えていました。投資銀行は「Up or Out」という文化で成果を出さなければすぐクビになる厳しい世界だったので、英語のハンディを負っているという点を見せないように常に心掛けていました。
英語での成功体験、失敗体験が
あれば教えてください
渡米直後、会社内部のミーティングでネイティブ英語のスピードが早過ぎて、全然理解できなかったです。とんでもない場所に来たな、とその時感じました。最初のうちは、クライアントに送るメールの表現が失礼だとアメリカ人上司に指摘され、そこから数カ月ほど、外部メールは全て上司の事前レビューを経ないと送れないというプロセスを強いられていました。当時は屈辱に感じていましたが、今考えると感謝しています。
あなたにとって仕事とは?
多忙を極めたバークレイズ・キャピタルでは「仕事のための人生」を過ごしていました。その経験もあり、「人生を豊かにするための仕事」をしたいと強く思い、それを実現するには起業しかありませんでした。今は毎日が楽しいです。
子供の頃に就きたいと思っていた職業、理由も教えてください
宇宙飛行士かパイロットですね。自由なイメージがあり、人が普通行けないところに行けるというのがものすごく格好いいと思っていました。
もし、今の仕事に就いていなかったら、どんなことをやっていると思いますか
学生時代に脊椎をけがしたのですが、ダメもとで宇宙飛行士とパイロットに挑戦した後、アメリカの企業(大企業かスタートアップ)でファイナンス関連の仕事をしていたと思います。
現在、どんなおうちに住んでいますか?
マウンテンビューのシングルファミリーハウス。とても良いコミュニティーで大変気に入ってます。
休日はどんなふうに過ごしていますか
子供のスポーツ試合、練習のコーチや観戦。友達家族とキャンプをしたり、バーベキューをすることが多いです。
ベイエリア、および近郊で好きな場所はどこですか?
サンタクルーズ。コロナ禍でサーフィンを始めました。まだまだ下手なので、上手な方と一緒に行かせていただけるとうれしいです。読者でサーフィンをやっている方はぜひ声を掛けてください。
お気に入りのレストランは?
マウンテンビューの「Happy Lamb Hot Pot」です。
よく利用する日本食レストランはどこですか?
クパティーノの「うずまきや」(おいしいうどん屋さんです)。
もし、宝くじで1億円当たったとしたら、その使い道は?
一軒家を買いたいですが、ベイエリアでは1億円じゃ足りないので、将来の起業資金に当てたいです。
最近日本に戻ったときに思ったこと、考えたこと、感じたことは?
ベイエリアとの物価の違いに驚きました。
日本へのお土産は何を持っていきますか?
シーズキャンディーのチョコ。
日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
お酒(焼酎、ウィスキー)。
現在のベイエリア生活で、不便を感じる時は?
不動産が高過ぎることです。
日本に郷愁を感じる時は?
ユーチューブなどで日本の映像を観る時。
おすすめの観光地
マウイ島。観光地化もそれほどしていなく、不便過ぎず、大好きです。
5年後の自分に期待すること
「なんドラ」のエグジットが完了し、次の起業をしていること。
これまで見た中で影響を受けた、または印象に残っている映画は?
『白い嵐(White Squall)』 です。海洋学校での航海の中で、若者たちの成長と絆を描いた映画で、10回以上は見ています。強い絆で結ばれた信頼できる仲間としか共感できないもの、そういうものを自分も手に入れたいと思いました。
最近見て印象に残っている映画
『トップガン マーヴェリック(Top Gun: Maverick)』。
自分を動物に例えると?なぜ?
動物占いはペガサスです。その特徴は「思いつくままに行動し、束縛や干渉を嫌う自由人」らしいのですが、大体合ってます。
座右の銘は?
「誤った努力は人を裏切るが、正しい努力は人を裏切らない」(ただ単に努力をすればいい、というのは間違いだと思っているからです)。
プロフィール
並木 啓悟
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Keigo Namiki
ニュージャージー州生まれ。慶應義塾大学を卒業後、PwC東京入社。2011年にPwC米国に転籍。UCバークレーでMBA取得後、バークレイズ・キャピタルで投資銀行業務に従事、テックスタートアップの上場戦略、M&A戦略策定を行った。2020年、BizDev Dojoおよび、なんでもドラフトを創業。