青春時代にはじまり、結婚、子育て、就職など人生の大きな転機も経験した、思い入れのあるベイエリア。仕事柄、過去に住んだどの土地よりも詳しくなったという当地での暮らしについて聞きました。
ベイエリアに住むことになった
きっかけ
2001年から語学留学でシアトルに約1年間住んだのですが、5月から8月までの3カ月間以外はしとしと雨が降るのにうんざりし、どこか天気のいいところに住みたいという安易な気持ちで、2002年にベイエリアに移住しました。
ベイエリア最初の印象と
今の印象は?
ベイエリアに来て最初に住んだ街はサニーベールだったのですが、日本では東京の吉祥寺に住んで、新宿の学校に行き、原宿で働いていたので、なんて田舎に来てしまったのだ、と絶望しました。そのころはサンタナロウもなく、モールも品ぞろえがいまいちで、英語ができるようになったら、絶対に日本に帰る、と思っていました。今は日系のレストランもいっぱいできて、大好きなショッピングもだんだん充実し、便利な都会になったなーとしみじみ思います。
あなたにとって、
どんな場所ですか?
「住めば都」とはよく言ったもので、今では人生で一番長く住んだ場所になりました。20代の青春時代から、結婚、子育て、就職と人生の転機も全て経験した思い入れのある土地です。仕事も地域密着型なので、日本のどの場所よりもベイエリアのことのほうに詳しくなりました。
この道に進むことになったきっかけは?
大学卒業直後に結婚して、就活していたら妊娠が発覚。これで就活はいったん停止しなくてはいけないけど、将来のキャリアは捨てたくない。自分の得意なこと、苦手なこと、好きなこと、嫌いなことを考えたら、不動産仲介業が一番合っていると思いました。しかもアメリカの不動産業者には、おしゃれして格好いい車に乗っているイメージがあったので、ミーハーな思いも手伝って、妊娠中に勉強してライセンスを取りました。
英語を使って仕事をするということについて思うことは?
英語は会話を成立させるだけのツールであって、仕事をするうえでは英語が多少下手でも、何か別のスキルがあるほうが重要だと思います。英語はアクセントの位置さえ正しければ、発音が悪くても通じることが多いです。アメリカ人が英語を話せるから日本人より仕事ができるというわけではないです。語学力も大事ですが、それに加えて何か自分の特性を生かせることが重要だと思います。
英語での成功体験、失敗体験があれば教えてください。
失敗談は本当に数多くあるのですが、一番覚えているのは、アメリカに来たばかりのころ、バスの車内アナウンスが聞き取れなくて、車庫まで行ってしまったことがあります。引っ越してきたばかりで住所もしっかり覚えておらず、途方に暮れました。そんな私を見て運転手さんが同情し、家の方向までバスで送ってくれて、ホストマザーに大通りまで迎えに来てもらい、無事帰ることができました。当時は知り合いもいなかったので、怖いやら情けないやらで、涙が出たのを今でも覚えています。今でもアレクサが私の英語を理解してくれなくていらいらするなど、いろいろありますが、大失敗しなくなったことが成功体験です。
あなたにとって仕事とは?
自分らしさを発揮できる場所です。子供のころからお節介で説明好き、人見知りも全くしない性格だったので、たくさんの人に出会えて、大事なお家の売買のお手伝いができる今の仕事は、本当に天職だと思っています。もちろん大変なこともありますが、お客さまに感謝いただいた時の喜びは、何にも代え難いものがあります。これからも「好きこそものの上手なれ」でまい進していきたいと思います。

子供のころに就きたいと思っていた職業は?
子供のころからファッションが好きだったので、ファッションデザイナーになりたいと思っていました。
もし今の仕事に就いていなかったら?
生粋の買い物好きで、自分の物を買うのももちろん好きですが、人の買い物に一緒に行くのも大好きなので、パーソナルショッパーとかになっていたかもしれません。
休日はどんなふうに過ごしていますか?
家族ぐるみで付き合っている友人のお宅にお邪魔してみんなで料理やお酒を持ち寄って、パーティーしたり、ショッピングに行ったりします。気力が出ない日はノーメークで家に閉じこもって日本のテレビ番組を片っ端から観たりもします。

ベイエリア、および近郊で好きな場所はどこですか?
最近、お酒が飲めるようになって、好きになったナパは、大人のディズニーランドだなーと思います。みんなほろ酔いで楽しそうで、私自身はほんの少ししか飲めませんが、行くと幸せな気持ちになります。
お気に入りのレストランは?
サンノゼの「Adega」、パロアルトの「Zola」や「Teleferic Barcelona」は雰囲気もお料理も好きです。
よく利用する日本食レストランはどこですか?
ロスアルトスの「炭家」には、ランチでもディナーでもよく行きます。
もし宝くじで1億円当たったとしたら、その使い道は?
半分は投資、4分の1はチャリティーに寄付、残りの4分の1は旅行とかショッピングに使っちゃうかもですね。
日本に戻る頻度は?
コロナ前は毎年帰っていたのですが、コロナ禍になってからはまだ一回も帰っていません。今年の夏は帰る予定です。
最近日本に戻ったときに
思ったこと?
とにかくサービスがものすごくいいと思いました。客として行く分には最高ですが、働いている方に無理をさせてしまっているのではないかと恐縮してしまいます。あとは、ニュースなどを観ていて日本はいろんな面で遅れているなと思ってしまいました。
最近あった例だと、日本に夏に帰るので、人間ドックでも予約しようと思ったら、「電話かファクスのみでの予約受付」というところがたくさんあり、びっくりしました。日本のサービスの良さを維持しつつ、アメリカみたいに効率化したら最高なのに、と思います。
日本へのお土産は何を持っていきますか?
トレーダージョーズのエコバッグ、サンフランシスコ発のチョコレート、良いにおいのサニタイザーなどですね。
日本からベイエリアに持って帰ってくるものは?
洋服、アクセサリー、デパ地下で売られているお菓子、キッチン小物、食材ですかね。
現在のベイエリア生活で不安に感じることは?
毎年の水不足と山火事、また、コロナ以来、治安が悪くなってきていることです。
お薦めの観光地は?
メキシコのプエルト・バヤルタ(Puerto Vallarta) に何年か前に家族で行き、海もきれいで食事もおいしくて本当に楽しかったです。カリフォルニアから行きやすいのも魅力だと思います。
5年後の自分に期待することは?
今の目標を達成していて、新しい目標を立てているといいですね。

座右の銘は?
「適材適所」「好きこそ物の上手なれ」です。
プロフィール
天谷 尚子
/
Naoko Amaya
リアルター。2002年に大学進学のためベイエリアに移住。カリフォルニア州立サンノゼ大学卒業後、妊娠中に不動産仲介業ライセンスを取得。日系不動産会社で働いた後、現在は米系不動産会社Compass, Inc.にて、ウォール・ストリート・ジャーナル紙で全米不動産販売チームトップ100に選ばれた「Boyenga Team」のエージェントとして奮闘中。