日本では仕事人間。でもアメリカでは「Work smarter than harder」が身に付いたという。海外赴任でベイエリアに来て、アメリカ人と結婚、出産を経て、仕事も続けている山本さんに、ここでの暮らしについて伺いました。
ベイエリアに住むことになった
きっかけ
インテル東京オフィスで働いて3年ほどたったころ、アメリカ本社から赴任してきた人が私の上司になりました。彼に影響され、本社で働きたいと思い始め、本社の仕事に応募しまくりました。おそらく10回近く応募し、インタビューで落ちまくりましたが、半年ほどかけてようやく本社の仕事を勝ち取りました。2014年のバレンタインデーに、晴れて来米しました。
ベイエリア最初の印象と今の印象
最初にベイエリアに来たときは、サウスベイ(サンノゼ、サンタクララ、ミルピタスあたり)が主な活動拠点だったので、すごく田舎に来てしまったなという印象がありました。どこに行くにも高速道路を使わないとならなくて、出掛けるのが億劫(おっくう)でした。4年ほど前から、サンフランシスコの南西に位置するパシフィカという小さなビーチタウンに住んでいます。ここでは、地元の自然を家族で楽しんでいます。ベイエリアと言っても、ペニンスラ、サウスベイ、サンフランシスコ、イーストベイと、エリアによってかなり雰囲気が違って、それが面白いなと思います。
あなたにとってベイエリアはどんな場所ですか?
ベイエリアに住んで8年近くなるので、もう第三の故郷です。第一は生まれ育った岐阜、第二は大学からこっちに来るまですごした東京です。
自分の専門分野について
インテルでコーポレートファイナンスの仕事をしています。
この道に進むことになったきっかけ
もともと大学の専攻はアカウンティングでした。こちらに来てから、アメリカの公認会計士(CPA)の資格も取りました。
英語を使って仕事をするということについて思うことは?
留学経験がほぼない状態でアメリカに来てしまったので、最初はとても戸惑いました。職場にはもちろん、誰も日本語を話せる人がいない状況で、いきなり英語で仕事をしなくてはいけなかったので、最初はクビにならないよう必死でした。今はさすがに8年もいるので、仕事は英語でする方が楽になりました。逆に日本語の漢字や敬語をうまく使いこなす自信がありません。
英語での失敗談があれば
教えてください
数えられないくらいたくさんあります。本社にあるインテルミュージアムでの通訳を頼まれた際に、日本語訳が分からなかったり、例えば「トランジスタ」などの日本語がとっさに出てこなかったりして、カタカナ英語ばかり入った、タレントのルー大柴さんのような「ルー語」で通訳をしたのがすっぱい思い出です。
あなたにとって仕事とは?
日本にいたころ、特にコンサルタントをしていたときは、仕事がほぼ人生だったんですが、インテルに転職してからは仕事の比重は下がりました。特にアメリカに来てからは、「Work smarter than harder」をモットーに仕事をしています。実際に日本にいたころの方がたくさん働いていましたが、昇進の機会は本社の方が圧倒的に多く、アメリカに来てからお給料も増え、自由度も高く、ワークライフバランスもよいです。
子供のころになりたいと思っていた職業
母が喫茶店を経営していたので、私もレストランか何か、お店をやるもんだと思っていました。
いまの仕事に就いていなかったら?
今の仕事のおかげでアメリカに来て、こちらで結婚して子供も産んでいるので、今の仕事に就いていなかったら全く別の人生を歩んでいたかもしれません。きっと今も日本で働いているでしょうね。
現在住んでいる家
2年前、パシフィカのタウンハウスを購入しました。その時は妊娠する前で、通勤もしていたのですが、この家を購入してすぐにパンデミックが始まり、自宅勤務用のオフィスが必要になった上に、妊娠して子供部屋が必要になり、もうすでに手狭です。
休日の過ごし方
まだ子供が1歳以下の赤ちゃんなので、あまり遠出をせず、家の近くの公園でハイキングをしたり、海で遊んだりすることが多いです。
近郊でどんな場所が好きですか?
夫がサーファーなので、付き合っていたときからいろんなビーチに連れて行ってくれていました。Highway 1をサンフランシスコからサンタクルーズまでドライブすると、途中ですごくきれいな景色があったり、小さなビール醸造所があったりして、ちょこちょこ寄り道するのが好きです。
お気に入りのレストラン
しばらく行っていませんが、サンフランシスコにあるラーメン屋さん「IZA」が好きです。子供が産まれる前は、月に1度デートナイトと称して気になるレストランを発掘していました。おかげさまで5年連続Yelp Eliteです。
よく利用する日本食レストランは?
サンノゼに住んでいたときは、「ダン」や「リンガーハット」にしょっちゅう行っていましたが、パシフィカに引っ越してからは、デイリーシティにある丸亀製麺がおそらく一番よく行く日本食レストランです。
最近日本に戻ったときに思ったこと
最近帰っていないので分かりませんが、友人から渋谷のスペイン坂が無人だと聞いて、すごいショックを受けました。築地市場も移転してしまいましたし、私の知っている東京はもうどこにもないのかもしれません。
日本に持って行くお土産
日本の友達にトレジョのエコバックや、ヒマラヤ塩などをよく頼まれます。
日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
化粧品や調味料は、いまだに日本のものに頼っています。最近は母に離乳食を送ってもらったりしています。魚系の離乳食って、アメリカだとなかなか手に入らないんですよね。
現在のベイエリア生活で
不安に感じること
物価の上昇、特に家の値段の上昇、あとは一部エリアでの治安の悪化などのニュースを聞くと不安に感じます。
お勧めの観光地
日本から来た友達は、ワイナリーに連れていくと喜ばれます。カキ好きならトマレスベイなんかも楽しいです。
永住したい都市
お金を貯めてFIREできるようになったら、沖縄に暮らしたいね、と夫と話しています。夫は沖縄に行ったことがないので、次回の一時帰国の際に沖縄に行くのが目下の夢です。
5年後の自分に期待すること
5年後、息子はまだ5歳ですが、自分は結構な年齢になっています。早めにリタイアしたいのと、息子に行きたい学校に行かせてあげたいので、資産形成が順調に行っていることを願います。
最近読んで印象に残っている本
本はたくさん読みます。車で通勤していたときは、運転しながらオーディオブックを常に聞いていました。最近は育児本ばかり10冊ほど読みましたが、『How To Talk So Kids Will Listen & Listen So Kids Will Talk』は、子供に限らず、特に家族間での会話にとても重要な要素が詰まっていました。夫にも読ませて、私への話し方が変わったりして、いい影響を受けています。
自分を動物にたとえると?なぜ?
犬か猫かでいうと犬です。比較的社交性もあって、誰かとコミュニケーションをとるのが好きです。顔はディズニーの『Chip n’ Dale(チップとデール)』に似ていると言われたことがあります。
座右の銘
「Work Smarter than harder」
プロフィール
山本 菜月
/
Nazuki Yamamoto
岐阜県生まれ、日本育ち。一橋大学卒業後、外資系コンサルタント会社を経て、インテル・コーポレーションに転職。社内での異動を利用し、2014年アメリカ赴任。ベイエリア在住。2020年アメリカ人と結婚し、昨年第一子を出産。