日本へご帰国の際にアメリカの永住権や国籍をアメリカ政府に返還する人がいらっしゃいます。実はかなり多くの人がこの手続きを移民局へなさいますが、気を付けなければいけないのは税金がかかる可能性があるということです。
Expatriation Taxとは
●過去5年の平均課税額が一定の金額以上ある(2015年は16万ドル以上)
●自身の全世界の財産価値が200万ドル以上ある
以上の場合は、「Expatriation Tax」の対象になります。また、過去5年の所得税申告書は必ず提出し、税金を全て支払っておく必要があります。アメリカ永住権やアメリカ国籍を返還、放棄なさる場合、Form 8854という書類を提出する必要があります。この書類を提出しなかった場合の罰金がとても高額なので、ご注意ください。罰金は、1万ドルになります。
アメリカ永住権やアメリカ国籍を離脱する理由はそれぞれありますが、多くの場合は、離婚が挙げられます。
アメリカ人の配偶者と結婚して、アメリカ永住権やアメリカ国籍を取得しましたが、離婚とともに返却をするという場合です。その他、会社の帰任によって日本へご帰国なさる駐在員さまやその他の理由でアメリカ永住権やアメリカ国籍を取得したのち、日本へ帰国するためにアメリカ政府へ返還するというケースもあります。
最近多いのはFATCAやFBARなど、アメリカ政府による全世界の財産の申告による個人情報の把握もあります。アメリカ国外にある財産が、1万ドル以上の場合は、アメリカ政府に毎年報告しなければいけません。
アメリカ国籍を手放す、またはアメリカ永住権を手放すということは、とても重要な出来事になります。ただ単に確定申告の義務から逃れるという理由だけではなく、もっと重大な意味があるということをご認識ください。この税金はアメリカ税務署IRSにとって、居住者としての納税者から最終的に課税できるチャンスですので、今ある財産を保有しているにもかかわらず、全て売却したかのようにキャピタルゲインを計算して、税を支払います。
過去5年の平均税額が16万ドルドル以上ですが、たとえ奥さまだけがグリーンカードを手放すとしてもジョイントで申告している場合は、ジョイントの税額が対象になります。そのため、グリーンカードを手放すということが分かった時点で、夫婦別に確定申告をするというのは一つの対策でもあります。
過去5年の確定申告を必ず提出していなければいけないので、この時点でFBAR(外国金融口座報告)やFATCA(外国口座税務コンプライアンス法)申告が全てなされているか確認する必要があります。なされていなかった場合は修正申告などで全て申告がきちんとされているか見直しをする必要があります。
401Kがある場合は納税が延期されますので、最大限に401Kに財産を入れておくというのはいい考えです。401Kは、その資産を引き出した場合に課税対象になります。
FBAR、FATCAについて
前述したFBAR、FATCAですが、たとえ日本へご帰国になってもグリーンカードを保有なさっている場合は全世界の財産をアメリカ政府に報告し、全世界の所得に対してアメリカ政府に確定申告する必要があります。
行わなかった場合の罰金回避の条件として、申告をしていなかったのが故意ではない(Taxpayers must certify that conduct was not willful.)ということが挙げられますが、IRSが監査を始めた場合には罰金回避は難しくなりますので、監査の対象になる前に早めに申告をする必要があります。(If the IRS has initiated a civil examination of taxpayer's returns for any taxable year, regardless of whether the examination relates to undisclosed foreign financial assets, it will make difficult to abate penalties.)
過去の申告書を全て申告済み、納税済みにして、コンプライアンスしているということを証明する必要があります。また、ソーシャルセキュリティ番号が必要です。
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