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柳家東三楼の「Break a leg 落語の時間ですよ」Vol.19

2022.10.13

配信

日米の文化が交流する場所

 アメリカに移住し、落語という日本の伝統文化を世界に伝えようと活動しておりますが、時々、自分がしているのは正しいことなのだろうか、別に日本の文化は日本の文化として日本の中にあればいいんじゃないかと不安になります。僕としては、表現者として自分の芸で笑わせたいというエゴと、素晴らしいものを自国のみならず世界の方々に知ってもらいたい、そして自分も多様な文化を知りたい、楽しみたいと思い、やはり自分の活動は楽しんで、頑張ってやっていこうと思っています。

 その活動はシリコンバレーのB-BRIDGEさんとやっているオンラインサロン「落語とアートの交流場」でご報告をしたり、会員の皆さんと交流していますが、B-BRIDGEのヒロさんが生まれ故郷の富山県の小松市、高岡市、氷見市を「Craft Valley」と名付けられたのをきっかけに、サンフランシスコ紀伊國屋ビルでCraft ValleyFairを10月前半に開催したそうです。Craft Valley のおいしい食べ物や工芸品をサンフランシスコでやるのは、日本のアメリカへの移民の歴史を考えるととても意義がありますし、シリコンバレーで活躍する会社とヒロさんが手掛けているというのも、日本(富山)、アメリカ(ベイエリア)の強いつながりを感じて、とても心強いです。


 落語には日本の食べ物や陶芸(工芸)にまつわる噺(はなし)がたくさんあります。僕もそういった噺を手掛けるたびに調べて勉強していきますが、本当に奥深くて繊細で美しいなと思います。と同時にアメリカでも(僕の住んでいるニューヨークでも)、他国のさまざまな食べ物や美術品、クラフトに触れると、その繊細さ、美しさの日本の物との違いが感じられて、より感動します。

 現在は情報にあふれて、液晶の画面からたくさんの国や地域のことがすぐさま分かり、分かったような気持ちになります。そんな時に手に取ったり、口にした時の感動の深さは技術が変わっても、僕たち人間の脳の反応は変わらず美を液晶画面とは違って認識します。

 それが今は技術の最先端のサンフランシスコで日本のフェアが開催されたというのは、何だかバーチャルとリアルの融合なようで、とても新しく感じます。残念ながら僕は今日本に一時帰国していて行けませんでしたが、ベイエリアの皆さんは行かれたのでしょうか。イベントが終わったあとも、ジャパンタウンにイベントの記憶は残っているでしょう。そんなことを想像しながら、そろそろベイエリアに行きたいなあと、焼津の海から太平洋を眺めております。


柳家東三楼(やなぎやとうざぶろう) 落語家歴23年。真打として日本全国で落語を披露する中で世界中の人に落語を知ってもらいたいと、2019年よりアメリカへ移住。現在はNYのブルックリンを拠点にアメリカにてすでに200回以上の公演を行う。50州すべての州にて落語公演を実施することを目標に、日々精力的に活動中。

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