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柳家東三楼の「Break a leg 落語の時間ですよ」Vol.28

2023.07.19

配信

ロサンゼルス公演

 ベイエリアに滞在して40日が経過しました。思ったより朝晩が涼しくて、というより寒いくらいですね。今はニューヨークや東京の方が35度を超えていますが、僕の滞在しているユニオンシティは昼間も25度前後でカラッとしていて、とても過ごしやすいです。

 先週末はロサンゼルスで公演してきました。車に座布団や着物を載せて6時間半運転して、ロサンゼルスダウンタウンより少し西のトーランスへ行ってきました。

 ベイエリアの皆さんはご存知でしょうが、僕はトーランスのあまりの日本ぷりに驚きました。サンフランシスコやシリコンバレーのジャパンタウンで「ここ日本だあ」と感じたのはアメリカの中の日本っぽさでしたが、トーランスはまあ、日本そのものですね。僕の中では気候といい、日本食やドンキホーテでの買い物はまさに「物価の高い沖縄」でした。美味しいラーメンやちゃんこ鍋をいただき、スナックやカラオケバーに行く。まわりから聞こえる声は全て日本語、なんだか不思議な気持ちになりました。

 公演では元々LAに住んでいて、今はダラス在住の可愛いお弟子さん、ざぶとん亭たろう君とおはなちゃんが前座を務めてくれました。いつもクラスでお稽古している「あくび指南」「つる」を立派に披露しました。可愛いお弟子さんの落語を見られるのは幸せです。

 そしてなんと、ちょうどこの連載がベイスポに載る頃、日本の宮崎県で子どもの落語選手権が開催されるのですが、その大会にサンフランシスコ市内在住のざぶとん亭天助君が参加します。海外からの参加は史上初ではないでしょうか。しかも演目はかつて桂枝雀師匠が演じて、今は演じ手があまりいない「九日目」という物で、彼は本や録音で知って好きになり、自分で台本にして、僕や他のお弟子さんの前で披露していました。この演目はプロが演じても難しく、短編映画を観ているような気持ちになる、落語の中では珍しい噺(はなし)です。それを彼は自分でモノにして大会で挑戦します。

 ベイエリアのお弟子さんは非常にレベルが高くて、ざぶとん亭て魔りちゃんは「死ぬなら今」「半分垢」と、江戸落語の中でも相当渋い演目に挑戦しています。これはとんでもない落語の英才教育になっているでしょう。

 僕は今、落語を使った日本語教育のプログラムをメソッド化して開発していますが、いずれ天助君やて魔りちゃんのようになりたいという子が沢山出てきて、アメリカ、及び世界の子が落語を通して日本語や文化を好きになって、一緒に遊んだり大会をしたりする日が来るような気がして、今からとても楽しみです。



柳家東三楼(やなぎやとうざぶろう) 落語家歴25年。真打として日本全国で落語を披露する中で世界中の人に落語を知ってもらいたいと、2019年よりアメリカへ移住。現在はNYのブルックリンを拠点にアメリカにてすでに200回以上の公演を行う。50州すべての州にて落語公演を実施することを目標に、日々精力的に活動中。

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