お仕事探しはこちら!

ラーメン厨房徒然草 - きたやまはじめ -  No.3

2023.05.31

配信

  - No.3 涙のマグロ丼 -  

 前回では、留学当時、18歳のころの私を紹介しましたので、今回は19歳のころを紹介しましょう(笑)。

ELSを卒業したあと、マリブの大学にいきました。そしてまたドミトリーの生活です。ELSを卒業してかなり英語ができる自信がありましたが、アメリカの本物のティーンエージャーたちに囲まれると私の英語などなんの役にも立ちませんでした。落ち込む毎日です。大学の教科書も難しく、わからない専門用語だらけで1ページを読むのに8時間もかかっていました。教科書は300ページとか普通にあるので気絶しそうです。

つらかったのはやはり寮生活の食事。極端に言うと、朝はスクランブルエッグ。昼は魚の揚げ物。夜はパスタ。毎日同じものしか提供されません。次第に食べれない。。。と拒否反応が出るようになってしまいました。貧乏な私は車も持っていませんでした。カップヌードルが買える一番近くのSafewayまで片道徒歩40分です。泣きたくなりました。

ある日、アジア人のクラスメートたちが見かねて車で買い物に連れて行ってくれました。その時にはじめて見たサンタモニカの街並み、これぞカリフォルニア!という太陽いっぱいのビーチ。あの光景は忘れられません。寮生活では一部屋に2人で住みます。そこで一番驚いたのは、カップヌードルに水を入れて電子レンジでチンする白人同僚。お湯じゃなくて水から?そんな方法があるのか?!とカルチャーショックでした。マリブの寮生活は辛すぎて一学期で脱落しました。慣れ親しんだSFに戻り、約4か月ぶりの日本食、マグロ丼を食べたときは涙がこぼれそうでした。すると横に座っていた日本人女性2人の会話が聞こえてきました。

「うわー、日本食懐かしい。ほんと久しぶりに食べるね。美味しい~。」

そうだよな、アメリカに来て辛いのは私だけじゃないんだな。みんな大変なんだな。。。と思っていたら、会話の続きが。。。

「クォーターって何セントだっけ?これって何?ダイム?」

おいおい、お前ら観光客だったんか~~いっ!!マグロ丼を食べたお店の名前は忘れてしまいましたが、いまでも心が癒されたことを感謝しています。

ラーメンハジメでは、さすがに心を癒すことまではできませんが、日本の皆様、そしていろいろな人種の方にも、せめて美味しいと言っていただけるように努力しています。そしてせっかくアメリカにいるのだから、ひとつのラーメンにできるだけ和と洋の2つの要素を取り入れ、融合させ、文化ブリッジとなるような1杯を作りたいと考えています。

きたやまはじめ
1994年カリフォルニア州立大学サクラメント校卒業。2020年ラーメンハジメ創立。9種類の切刃を保有するなど製麺所並みの製麺設備を持ち、自家製麵と自家製スープでマリアージュラーメンの提供をめざす。

この記事に関連する記事

一覧ページにもどる

share with ups!

新規会員登録

ベイエリアの求人・仕事情報・お知らせ・募集・不動産・個人売買情報はBaySpo!
無料で会員登録をすると、bayspo.comをもっと便利にお使いいただけます。

新規会員登録をする

サクッと読める!
BaySpoとeじゃんデジタル版をチェック!