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ラーメン厨房徒然草 - きたやまはじめ -  No.2

2023.05.03

配信

  - No.2 舌平目のムニエル -  

前回、1988年、18歳でSFに語学留学に来たという話をしました。当時住んでいたドミトリーでは朝夕、毎日フランス料理が出てきました。高校を卒業したてで母親の田舎料理しか食べたことのない私が、突然フランス料理です。渡米5日目あたりに提供された夕食はいまでも忘れることができません。舌平目のムニエルです。こんな臭くてめちゃくちゃ不味い料理はそれまで食べたことがありません。衝撃の食体験でした。腹の減ってる貧乏学生ですからもちろん残さずに全部食べましたが。。。

今思うと、あの地獄の臭さはきっと白ワインをベースにしたソースの香りだったのでしょう。舌平目のムニエルは、週イチで提供されました。週イチ地獄です。しかし人間の慣れとは恐ろしいもので、3回目、4回目と食べるうちに、あれ?あれ?おかしいな、、、美味しい!と感じるようになってしまったのです。大人の階段を少し登りました。以前、テレビの罰ゲームでクサヤを使って炎上していましたが、個性的な匂いというものは、ある人にとっては良い香りであったりします。逆に言うと、香りが少ないものほど無個性に近づいていく印象です。東京出身の私は九州のほうのラーメンの臭みがどうしても好きになれませんでしたが、九州出身の方たちは、あの匂いがないと物足りないと言います。特徴のある野生的な匂いのラーメンは置いておいて、日本の多くのラーメン、また和食の弱点は、香りの少なさだと感じています。ラーメンハジメでは、香りという部分に特に力を入れて作っているつもりです。

たとえば豚骨ラーメンの自家製マー油は、ジャックダニエルのバーボンチップで燻製をしてBBQのフレーバーを加えています。醤油ラーメンには、ローストした自家製ローズマリーソースを。ヴィーガンラーメンは、植物性で特徴が出しにくいのでカレーの風味を加えてあります。匂いをかいで食べる前に美味しそうと思ってくれること。食べて理解しやすいこと。食べた後、誰かに伝えるときに説明しやすいこと。こうした商品づくりを念頭に置いているつもりですが、そこで香りが果たす役割はとても重要だと思っています。

きたやまはじめ
1994年カリフォルニア州立大学サクラメント校卒業。2020年ラーメンハジメ創立。9種類の切刃を保有するなど製麺所並みの製麺設備を持ち、自家製麵と自家製スープでマリアージュラーメンの提供をめざす。

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