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2023.08.30

配信

米サンフランシスコでの自動運転ビジネス拡大是非の動き

米国カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)は8月10日、サンフランシスコ市内で無人の自動運転車(AV)の配車サービスを展開するクルーズ(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)とウェイモ(本社:カリフォルニア州マウンテンビュー)に対し、同市内でAVの商用旅客サービスを提供するために必要な追加運営権限を付与する決議を承認したと発表した。これにより、両社は時間帯を問わずに無人の配車サービスを提供し、利用料金を請求できるようになる。  

両社はこれまで、サンフランシスコ市を含む複数の地域で、条件付きで事業を行ってきた。特に有料の配車サービスについては、安全を管理するセーフティードライバーの有無によって、時間帯や場所に条件が付けられていた。クルーズは、セーフティードライバーを伴う場合、サンフランシスコ全域で時間帯を問わずサービス提供が認められていたが、ドライバー不在の場合、サービスの提供は同市の限られた地域、かつ午後10時から翌日午前6時までの時間帯に限定されていた。また、ウェイモは、セーフティードライバーを伴う場合のみ、サンフランシスコ全域で時間帯を問わずにサービスの提供が認められていた。決議を巡っては、安全面の懸念などを理由に、これまで採決が2度延期されていた。ウェイモは8月11日、CPUCからの権限取得を自社のホームページで発表した。同社のテケドラ・マワカナ共同CEO(最高経営責任者)は「今日の権限取得は、サンフランシスコにおけるわれわれの商業活動の真の始まりだ」と述べた上で、「より多くのサンフランシスコ市民が、ボタン1つで完全自律走行がもたらすモビリティー、安全性、持続可能性、アクセシビリティーの利点を体験できるようになる日が待ち遠しい」として、自社のサービスがもたらす可能性を強調した。  

一方で、同市の法定代理人は8月17日、市内での商用利用を目的としたAV配車サービスの事業拡大の決議を承認したCPUCの8月10日の決定に対し、一時停止と再審理を求める行政申し立てを行った。今回の一時停止を求める理由として、AVの性能不足が安全上の危険性をもたらすことが挙げられた。両社は過去に救急隊の活動、公共交通機関、道路工事作業員、交通の流れを妨げているという報告が数多くなされていた。サンフランシスコ監視委員会委員長のアーロン・ペスキン氏は「サンフランシスコ市は、CPUCによる無制限のAVサービス拡大の認可の即時停止を求めている。この誤った決定がもたらすリスクと影響を、私たち市民と観光客が負担し続けるべきではない」と述べた。さらに、複数のメディア報道によると、カリフォルニア州陸運局(DMV)は、クルーズに、最近のAV車両が関係する複数の衝突事故を受け、調査が完了してクルーズが道路の安全への改善のために適切な是正行動を取るまで、AV車両を半分にすることを求めている。  

クルーズは、DMVの要請を受けて、AV車両を日中50台以下、夜を150台以下へ減らすことに同意した。 今後もサンフランシスコにおける自動運転のビジネス動向に注目だ。

石橋 裕貴(いしばし・ゆうき)
2011年日本貿易振興機構(ジェトロ)入構。東京本部、沖縄事務所を経て、2018年7月よりサンフランシスコ事務所に赴任。東京本部では海外調査部にて年次調査レポート「世界貿易投資報告」の作成などを担当。沖縄事務所では食品の輸出促進などに携わる。サンフランシスコ事務所では輸出促進、調査を担当。

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