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シリコンバレー発ビジネス最前線 - 伊藤 実佐子-

2022.03.24

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メタバースで広がるビジネスチャンス 

可能性は無限大  

メタバース。日本語でも英語でも、この言葉を見掛けない日はないと言っても過言ではないほど、今、注目を集めています。「超(Meta)宇宙(Universe)」からの造語で、インターネット上に広がる三次元の仮想空間を指すこの言葉は、2021年10月に「Facebook」が社名を「Meta Platform」に改名したことで一気に存在感を増しました。我が家でも日本にいる家族との新しいコミュニケーションの形を求め、最近VR(仮想現実)ゴーグルを導入。三次元のバーチャル会議室に集まって、家族で雑談をしたり、ゲームをしたりしていると、そのあまりに自然な没入感に新しい時代の到来を感じます。  

メタバースの市場規模は、2021年末時点で390億ドルですが、2030年には6800億ドルまで急速に拡大すると見込まれています(注1)。AI、クラウドコンピューティング、ブロックチェーン、XR(注2)など、インターネット上で発達したさまざまな技術がメタバースを構成する要素として活用され、発展することが期待でき、10数年後にはインターネットのように日常生活に不可欠の存在となるかもしれません。 

 ベイエリア・スタートアップの 動きも活発  

ベイエリアは、メタバースやウェブスリー分野の話題と関心と熱気にあふれています。Meta社ではVRゴーグル市場を牽引するヘッドセット「Oculus」シリーズを販売するほか、バーリンゲームの広大な敷地に開設されたMeta Reality Labsで進む次世代ヘッドセットや、触覚グローブなどの新技術の研究開発も注目されています。もちろんベイエリア外でも、Valve社(本社・ワシントン州ベルビュー)の「SteamVR」、ソニーの「PlayStation VR」など、代表的なハードウェアが次々と展開されています。VRとAR(拡張現実)を融合したMR(複合現実)技術を実現するMicrosoft社の「Hololens」は、建設や製造業の現場の効率化や安全性の向上に、すでに貢献しています。  

Brelyon社(本社・サンマテオ)は、プロジェクターやヘッドセットを必要としないバーチャルパノラマ体験を初めて実現した、新規性の高いディスプレイを2022年1月にラスベガスで開催されたCESで披露し、注目を集めました。ヘッドセットは没入感を得られるメリットがある一方、重い、頭痛がするといった煩わしさを伴います。Brelyonのディスプレイは独自技術で奥行きのあるパノラマ映像を可能とし、複数画面を同時に扱う金融トレーディングや設計などの用途が提案され、オンラインゲームに留まらないメタバースの活用方法が期待できます。

また、スマートコンタクトレンズを開発・製造するMojo Vision社(本社・サラトガ)の製品は、レンズにARディスプレイやセンサーを搭載し、目の動きをトラッキングすることで、データや画像を映し出す機能を持ちます。極小、軽量、手をふさがれない、無線通信といった特徴から、医療、フィットネスなどの領域への展開も見られます。  

こうしたハードウェアを生かすソフトウェアとして、ポケモンGOのNiantic社(本社・サンフランシスコ)が有名ですが、オンラインビデオゲームのRoblox社(本社・サンマテオ)を始め、エンターテインメント分野でも続々とスタートアップが育っています。建設分野ではOpenSpace社、HoloBuilder社、アバター(バーチャルキャラクター)作成のプラットフォームを提供するInworld AI社、メタバースでの交流を容易にするソーシャル・プラットフォームのVR Chat社、手術や医療機器の訓練用VRを提供するOsso VR社(以上いずれも本社・サンフランシスコ)など、ベイエリアのスタートアップの動きは活発です。 

 ルール作りが今後の課題に  

メタバースでは実社会に近い社会・経済活動が可能となることから、関連する技術の開発やサービスの普及に伴い、検討、解決しなければならない課題も浮かび上がって来ています。デジタル資産の商取引に伴う知的財産権の保護、暗号資産決済の利用者保護や透明性確保、プライバシーやサイバーセキュリティーの問題、メンタルヘルスに与える影響など、もう一つの世界でも実社会と変わらないルール作りが求められます。 

 本年3月9日、バイデン大統領は、デジタル資産の責任ある発展に関する大統領令に署名し、急速に広がるデジタル経済圏を巡る諸課題に関する政策提言を180日以内にまとめるよう指示しました。国境を越えた取引が常態化するメタバース時代の到来を見据え、日本はもちろん諸外国の政策論議の進展を引き続き注視していく必要があります。

(注1)Statista、2022年3月
(注2)Extended reality、現実世界と仮想空間を融合する技術。
             AR(拡張現実)、VR(仮想現実)などを含む技術を指す。

ジェトロ・サンフランシスコ事務所 伊藤 実佐子(いとう みさこ)
1999年日本貿易振興機構(JETRO)入構。東京本部では調査部門に18年在籍し、米国の通商政策や経済動向などに係るレポートを執筆。その後、対日投資部に異動し、外国企業の日本進出(対日投資)支援を担当。2019年12月より現職。米国企業の対日投資支援、PRを担当。University of Pennsylvania, Fels Institute of Government修了 。

https://www.jetro.go.jp

北米企業の対日投資促進、日系企業(スタートアップ企業含む)の海 外展開、食品の輸出を始め、貿易投資相談、ベイエリア情報の発信に取り組んでいる。

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