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2023.03.01

配信

カリフォルニアx 日本=クリーンテック


クリーンテックに対する関心が再び高まっています。2050年までにカーボンニュートラルを実現するためには政策による環境整備が必須であるとともに、スタートアップがもたらすイノベーションの力が不可欠だからです。クリーンエネルギー政策で世界をけん引するカリフォルニア州は日本との協業深化に向け、3月に官民ミッション団を日本に派遣します。 再び熱気を帯びるクリーンテック  クリーンテック分野の最新ビジネス動向を学び、起業家やVC/CVCと交流することができるクリーンテック・フォーラム・ノースアメリカ(主催・ Cleantech Group)が1月末、カリフォルニア州パームスプリングスで開催されました。2000年代より、長らくサンフランシスコ市内のホテルを会場として開催していましたが、コロナ禍を経て会場を移し、400名の定員が埋まる盛況なイベントとなりました。  


2000年代後半に盛り上がった後、技術開発が追い付かない、収益に繋がらない等さまざまな理由で下火となったクリーンテック業界でしたが、会場では、ここ5年ほどで新たな展開を迎えているという見解が各所で聞かれました。クリーンテックという括りの中に、クライメートテック、カーボンテック、アグリテック、モビリティテックなど、多岐にわたるアプローチを提案する技術が加わったことで課題を解決できる可能性が高まり、期待は膨らむ一方です。

 日本への高まる期待  


クリーンテック・フォーラムの目玉イベントの一つに、グローバル・クリーンテック100の発表があります。イノベーティブな技術で課題を解決する力を持った世界中のスタートアップのうち100社に与えられる栄誉です。残念ながら日本のスタートアップは選出されなかったものの、アジア太平洋地域に絞って選出されるAPACクリーンテック25には3社(AAKEL、EF Polymer、Tsubame BHB)が選ばれました。  

今年のクリーンテック・フォーラムに日本のスタートアップ、起業家の参加は限定的でしたが、参加者の日本への関心の高さを強く感じました。ビル・ゲイツ氏が創設したVCであるBreakthrough Energyや、クリーンエネルギー分野への活発な投資が見られるAt One VenturesなどVCの他、他国政府機関、主催者からも、日本のクリーンテック・スタートアップの情報やビジネス環境について質問を受けました。また、さまざまなセッションに登壇した海外スタートアップの発言の中で、日本企業と一緒に取り組んでいるプロジェクトについて紹介する企業が多く見られ、日本企業との協業に対する強い期待が伝わるとともに、その存在感も感じました。

 日本・カリフォルニア州の 関係強化に向けて  


3月中旬、カリフォルニア州副知事のエレニ・クナラカス氏が率いるミッション団が訪日します。ギャビン・ニューサム知事と冨田浩司駐米大使が2022年3月に署名した、気候変動対策並びに経済及び貿易関係の強化に関する協力覚書に基づき、気候変動、再生可能エネルギー、エネルギー貯蔵、ゼロ・エミッション車などの分野において、日本とカリフォルニア州の貿易及び投資による結びつきを強め、ビジネスチャンスを一層拡大させることを目指しています。州知事室経済開発部門(GO-Biz)のディー・ディー・マイヤーズ長官、カリフォルニア州エネルギー委員会(CEC)のデイビッド・ホックシールド議長、カリフォルニア州運輸局(CalSTA)のトクス・オミシャキン長官など、州のクリーン・エネルギー政策の方向性に影響力を有する政府高官が総出で日本を訪れる陣容が、この分野での日本との関係強化を狙うカリフォルニア州の本気度を表していると言えるでしょう。  

ミッション団には日本企業との協業を目指すスタートアップも同行します。小さな落差でも効率的に発電が可能な水力発電タービンを開発・製造するNatel Energy(本社アラメダ)や、農業廃棄物から排出された二酸化炭素を捕捉しバイオマスを水素に変換する技術を有するMOTE(同ロサンゼルス)が、日本企業との協業の可能性を探ります。また、東京ガスから出資を受け、既に日本法人を有する洋上風力発電設備の浮体式基礎構造の設計サービスを提供するPrinciple Powers(同エメリービル)などが同行し、日本企業との協業のメリットや関係強化の重要性を語るセミナーに登壇予定です。  

カーボンニュートラルの実現は一国では達成できず、官・民、大企業・スタートアップなどが総力を挙げて取り組む必要がある課題です。カリフォルニア州と日本が手を組み、世界をリードしていくことに期待が高まります。

ジェトロ・サンフランシスコ事務所 伊藤 実佐子(いとう みさこ)
1999年日本貿易振興機構(JETRO)入構。東京本部では調査部門に18年在籍し、米国の通商政策や経済動向などに係るレポートを執筆。その後、対日投資部に異動し、外国企業の日本進出(対日投資)支援を担当。2019年12月より現職。米国企業の対日投資支援、PRを担当。University of Pennsylvania, Fels Institute of Government修了。

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