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あなたの「今」が輝くために−其の百三十八

2024.04.03

配信

自力

 4月ですね。日本では新学期が始まりましたが、実は私も新入生です。日本に帰国後、聴講生として大学や大学院で、長く仏教について学んできましたが、この度、正式に大学院生になりました! と、いいましたが、ここまでが大変だったんです。

 そもそも短大卒業の私には、大学院入試の受験資格がありません。ならば4年制大学の卒業資格を取りましょうと、大学の3年次に編入することに。そこで、あることに気づきます。時に2年前の3月、大学入試は同年の10月もしくは翌年の2月で、合格できれば入学は翌年の4月と、1年先になります。この1年間がもったいない! と思ったのです。そこで入試もなく、翌月の4月からすぐに学びを始めることができる、通信教育学部がある大学に進学することに。

 しかし通学と違い、サポートを受けにくい環境の通信教育での学びは困難を極めました。編入して2年間で卒業した人はいるのだろうか? そもそも卒業できるのだろうか? と、不安になるほど。心が折れそうになりながらも、レポートを提出しては試験を受けることを繰り返し、必要単位を修得。卒論を書き、試問を受け、無事2年間で卒業することができました! バンザイ! エライぞ私! よく頑張ったー!

 ところで、鎌倉時代の僧侶、親鸞聖人は著書『一念多念文意』に、こんなことを書いておられます。「自力というは、わがみをたのみ、わがこころをたのむ、わがちからをはげみ、わがさまざまの善根をたのむひとなり」と。「自分ひとりの力」という意味で、今も一般的に使われることがある「自力」についての言葉ですが、我が身、我が心、我が力、そして私がやってきた様々の良いと思われる行いを「たのむ」、つまりアテにし、拠り所としているあり方は、正に私のこと。そんな自分を、エライぞ私! と、自画自賛までしましたが、果たしてそうでしょうか? 私の努力だけで、卒業できたのでしょうか?

 必須のスクーリングと寺の行事が重なり、行事の日程変更をお願いしたことがありました。周りに迷惑をかけながらも多くの方たちに支えていただき、卒業できたのです。私がやった! と思っていましたが、違うんですね。そんな「自力」はアテにも拠り所にもならないのだと、あらためて知らされた思いがした、大学卒業と大学院入学でした。


写真:Noriko Shiota Slusser

英月(えいげつ) 真宗佛光寺派長谷山北之院大行寺住職。江戸時代から続く寺の長女として、京都に生まれる。同業者(僧侶)と見合いすること、35回。ストレスで一時的に聴力を失う。このままではイカン! と渡米。北米唯一の日本語ラジオ「サンフランシスコラジオ毎日」でパーソナリティーを勤める他、テレビ、ラジオCMに出演。帰国後、大行寺で始めた「写経の会」「法話会」に多くの参拝者が集まる。講演会、テレビ出演、執筆など活動は多岐にわたる。最新著書は『二河白道ものがたり いのちに目覚める』(春秋社) 。

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