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あなたの「今」が輝くために−其の百三十四

2023.11.29

配信

種まき?

 私が住職を務める大行寺では、ご門徒(檀家)さん、アメリカでいうところのメンバーさん向けに、様々なイベントを企画しています。

 最近始めたのは、「ほっこりお茶タイム」というもの。イベントといっても、参加者のみなさんと月に一度、お茶とお菓子をいただきながらおしゃべりをするだけ。よく言えば「ほっこり♫」、悪く言えば生産性も何もない会です。先月はお茶とお菓子だけでなく、一緒にお弁当をいただきました。

 当日、大行寺から徒歩10分にあるデパートの地下へ、母と一緒にお弁当を買いに。せっかくだから楽しもう! と、色々なお店をめぐり、参加者の人数分の種類のお弁当を購入。京都の有名な天ぷら屋さんの天丼、料亭の二段のお弁当に、すき焼き弁当、豚カツ、韓国のキンパに、京都の丹後地方のちらし寿司などなど。参加されるご門徒さんのお顔を思い浮かべながら、コレが好きだと思うよ、アレがいいかな? と選ぶのも楽しい時間。

 会では、ジャンケンで勝った方から、好きなお弁当を取ってもらったのですが、母と私のアテがことごとくハズレて大笑い。あの方が、まさかこのお弁当を選ばれるとは! と、楽しい発見もあり、会話も弾みました。

 さて、この時のことを、ある集まりで話すと、「種まきですね」と笑顔で仰った方がおられました。「種まき? なんどすか?」と思いましたが、「そんな難しいことではなく、私たちが楽しいから、やっているだけですよ」とこたえました。

 色々な考え方があり、その違いに「正しい」とか「間違っている」は、ありません。けれども、「種まき」だと思って行う行動には、必ず「収穫」が伴います。その時に、自分の想定した「収穫」が得られないと、なんでやねん! と、いう気持ちが、わきあがるのではないでしょうか。

 確かに「種まき」は大事なことで、生産性に繋がる行動と言えるかも知れません。けれども、生産性だけが大事なのでしょうか。人と人との関係は、収穫しなければならないものでしょうか。ただ、御縁をいただいた、その時を、共に楽しむ。それだけで、じゅうぶんではないかな? と、思うのです。

 今、このコラムを読んでくださっている方との、この時間も同じです。お顔は拝見できませんが、ご一緒できてうれしいです。ありがとうございます。



写真:Noriko Shiota Slusser

英月(えいげつ) 真宗佛光寺派長谷山北之院大行寺住職。江戸時代から続く寺の長女として、京都に生まれる。同業者(僧侶)と見合いすること、35回。ストレスで一時的に聴力を失う。このままではイカン! と渡米。北米唯一の日本語ラジオ「サンフランシスコラジオ毎日」でパーソナリティーを勤める他、テレビ、ラジオCMに出演。帰国後、大行寺で始めた「写経の会」「法話会」に多くの参拝者が集まる。講演会、テレビ出演、執筆など活動は多岐にわたる。最新著書は『二河白道ものがたり いのちに目覚める』(春秋社) 。

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