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あなたの「今」が輝くために−其の百二十七

2023.05.04

配信

「そこではない!」 

 京都の東山にある京都国立博物館。ここで開催中の展覧会が今、一部の人たちの間で話題となっています。かく言う私もすでに3回足を運び、この後もあと3回は行く予定にしています。では何が行われているのかといえば、「親鸞展」です。

 鎌倉時代に浄土真宗を開いたとされる親鸞聖人(しんらんしょうにん)の生誕850年を記念して開催されているこの特別展は、再び開催するのは難しいのでは? 少なくとも、私が生きている間は無理だろうという内容。開催前から、前のめり気味に楽しみにしていました。ちなみに会期は5月21日までですので、「その時は日本にいる!」という方は、是非お運びください。個人的なオススメポイントは、親鸞聖人の直筆。お経さんを書写したものや著書、そしてお手紙などです。

 お経さんを書写したものには、余白にびっちりと書き込みがあります。著書にも言葉の説明などが書き加えられていたり、書き換えられたりした跡が見受けられます。それら残された言葉と向き合うことで、飢饉や疫病など大変な時代を教えと共に生き切った親鸞という一人の人間が、体温を伴って浮かび上がってくるようです。と同時に、親鸞聖人が出遇うことができた教えと、私も出遇わせていただいているのでしょうか。展示品を観ながら、いつの間にか手が合わさり、合掌している自分自身に驚くことが何度かありました。

さてさてこの「親鸞展」、有難いことに開催前の講演会や展覧会公式サイトにも、ご縁をいただいております。なんと! それだけでなく、NHKさんからも、展覧会を紹介してくださいとのオファーが。私自身が心を鷲掴みにされた展示品の数々を、視聴者の皆さんとシェアできるなんてと大喜び。が、諸事情によりロケ日が1週間ほど変更されることに。それを聞いて真っ先に思ったこと、それは「えー、あと1週間も、お菓子をがまんしないといけないー」でした。そうでないものもそれなりに、映って欲しい乙女心。テレビに映る自分の見た目が気になり、ささやかなダイエットをしていたのですが、大事なことは、そこではない! のです。親鸞聖人が出遇われたのは、“量”ることの“無”い、阿弥陀さまの世界。なのに、それをシェアしようと思った私は量ってばかり。アホかいな、です。



写真:Noriko Shiota Slusser

英月(えいげつ) 真宗佛光寺派長谷山北之院大行寺住職。江戸時代から続く寺の長女として、京都に生まれる。同業者(僧侶)と見合いすること、35回。ストレスで一時的に聴力を失う。このままではイカン! と渡米。北米唯一の日本語ラジオ「サンフランシスコラジオ毎日」でパーソナリティーを勤める他、テレビ、ラジオCMに出演。帰国後、大行寺で始めた「写経の会」「法話会」に多くの参拝者が集まる。講演会、テレビ出演、執筆など活動は多岐にわたる。最新著書は『二河白道ものがたり いのちに目覚める』(春秋社) 。

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