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あなたの「今」が輝くために−其の百二十六

2023.04.19

配信

願い

 皆さん、WBCはご覧になりました? いい試合が続きましたね。とは言ったものの、実は春のお彼岸と重なり、オンタイムでの観戦ができませんでした。ご門徒さんのお宅に伺ってお経さんをお勤めするお参りや、お彼岸の法要を勤められるお寺さんでの法話などがあったからですが、今回、驚くことがありました。高校卒業以来連絡が途絶えていたクラスメイトが、私が法話をするお寺さんにお参りに来てくれたのです。

 高校時代の私は(今もですが笑)協調性がなく、あまり良い思い出もなく、エスカレーターで行ける上の学校には進まずに別の学校へ行き、そうしていつしか高校時代を忘れ去っていました。そして彼女のことも忘れていましたが、法話後に「ずっと応援している」と伝えられ、驚きました。高校卒業後に女子大生レポーターとして、テレビのニュース番組でお天気お姉さん、そしてレポーターをしていた私を観ていたと言うのです。アメリカに行ったのも、帰って来たのも知っている。あの雑誌に出ていたのも、あのテレビ番組に出ていたのも知っている。高校時代の仲間たちも応援しているよ! と。高校卒業後30年以上経って知らされた事実に、ただ、ただ、驚きでした。

 私は忘れ去っていたのに、その私を応援し続けてくれていた人たちがいる。私が気づいてなかっただけで、支えられ、願われているという事実が30年以上も続いていると知らされたことで、大袈裟な言い方をすれば世界がひっくり返されたような思いがしました。言葉を変えるとそれは、私自身は「自分都合」の視点で見ているけれど、「自分都合」を離れた事実があると改めて知らされたようでした。「自分都合」の視点とは、私が忘れ去った過去であり、事実とは、支えられ、願われているということです。

 実は、仏さまも私たちを願ってくださっているのですが、それは知識として知っていること。高校時代の友人の願いにさえ気づけない私が、仏さまの願いがあるといわれても、正直なところなかなか分かりません。けれども、願いはあるのです。その事実に触れることで、安心にも似た温かな気持ちと共に頑張ろうという力が湧くのではないでしょうか。軽々に仏さまの願いと一緒にはできませんが、WBCに出場した選手の方たちに、多くの人たちの願いが届き、力となったように。



写真:Noriko Shiota Slusser

英月(えいげつ) 真宗佛光寺派長谷山北之院大行寺住職。江戸時代から続く寺の長女として、京都に生まれる。同業者(僧侶)と見合いすること、35回。ストレスで一時的に聴力を失う。このままではイカン! と渡米。北米唯一の日本語ラジオ「サンフランシスコラジオ毎日」でパーソナリティーを勤める他、テレビ、ラジオCMに出演。帰国後、大行寺で始めた「写経の会」「法話会」に多くの参拝者が集まる。講演会、テレビ出演、執筆など活動は多岐にわたる。最新著書は『二河白道ものがたり いのちに目覚める』(春秋社) 。

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