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あなたの「今」が輝くために−其の百十五

2022.04.21

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であい

 4月ですね。日本では新しい年度が始まりました。新しい「であい」の季節でもあります。ところで、この「であい」という言葉。以前、何かで「出愛」という当て字を使っておられるのを見て、驚いたことがあります。なぜなら仏教では、愛は苦だと説くからです。

 他者を愛することは素晴らしいことです。けれども誰かを愛するということは、愛さない人がいるということにもなります。ちょっと意地悪な言い方をすると、それは区別する愛です。それだけでなく、愛するあまり相手に執着することもあります。また、状況が変われば、愛が憎しみに変わることも。そう、だから苦なのです。なので「出愛」という文字は、私にはまるで「出苦」と書かれているように思われ、驚いてしまったのです。

  さてさて、では、当て字ではない「であい」の「あう」には、どんな漢字があるでしょうか。時間や場所を決めて「会う」や、服や靴のサイズが「合う」。心ときめく「逢う」に、事故などの嫌なことに「遭う」など色々ありますが、これらの「あう」に共通しているのは、自分の都合が基準だということです。例えば、都合に良い「出逢い」に、都合に悪い「出遭い」というように。それに対して、先月のコラムで「教えに出遇われたのが親鸞さんでした」と書いた「遇う」という漢字には、偶然、たまたまという意味があります。つまり、仏さまの教えとの「であい」は、自分の都合やはからいを超えた「出遇い」ということなのです。

  なぜなら、それが仏さまの教えだからです。自分の都合にいいから、トクになるから、教えを信じるのではないのです。「恋愛成就は、この仏さま。学問は、あの仏さま。病気は、そっちの仏さまがいいよ」という会話を聞くことがありますが、ちょっと待て、です。人間が仏さまを選ぶなんて、偉くなり過ぎた感が半端ありません。でもね、それが悪いのでも、ダメなのでもないのです。ただ、自分にとって都合にいいこと、トクになることを仏さまに求め続けるのは、愛が苦であることと似ているのです。清沢満之という仏教者は「依頼心は苦痛の源なり」と言いましたが、仏さまに依頼し、自分勝手に苦しんでいるのです。実は、そんな自分自身の姿を知らされるのが、仏さまの教えなのです。


写真:Noriko Shiota Slusser

英月(えいげつ) 真宗佛光寺派長谷山北之院大行寺住職。江戸時代から続く寺の長女として、京都に生まれる。同業者(僧侶)と見合いすること、35回。ストレスで一時的に聴力を失う。このままではイカン! と渡米。北米唯一の日本語ラジオ「サンフランシスコラジオ毎日」でパーソナリティーを勤める他、テレビ、ラジオCMに出演。帰国後、大行寺で始めた「写経の会」「法話会」に多くの参拝者が集まる。講演会、テレビ出演、執筆など活動は多岐にわたる。最新著書『あなたがあなたのままで輝くためのほんの少しの心がけ』(日経BP社)

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