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あなたの「今」が輝くために−其の百七

2021.06.21

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「無くならない、いのち」

先日、サンフランシスコに住む友人が亡くなっていたことを知りました。

思い起こせば、昨年の春頃のことです。私のFacebookから、友人のアカウントが消えていることに気づきましたが、特に気にとめませんでした。その後も、時々思い出すことはあっても、サンフランシスコに行く時に連絡をすればいいと軽く考えていました。ところが、先日、ふと友人の名前を検索したところ、出て来たのは死亡記事でした。

記事をスクロールするごとに心拍数が高くなり、電車に乗っていたにも関わらず、涙がこぼれて止まりません。サンフランシスコに行っても、もう会うことはできないと思うと、淋しくて、悲しくて、辛い。

10年近く暮らしたサンフランシスコから日本に帰ってきて、もうすぐ丸11年になります。その間に、何人かの大切な方が亡くなりました。『ベイスポ』でも記事になっていた、レストラン「Yama Sho」の山田さんもその一人です。私のFarewell Partyは、山田さんのご厚意により、「Yama Sho」さんを貸し切って、盛大に行われました。それだけでなく、「サンフランシスコにお寺を造るなら協力するよ!」と、応援してくださっていました。口数は多くはないけれど、どっしりと温かい方でした。

もう、お会いできない、おしゃべりできない、プロ顔負け(というかプロなのですが)の歌も聞けない。失ったことの大きさに、押しつぶされそうになります。山田さんしかり、友人しかり、大切な人を失うのは、自分の中にぽっかりと穴が開くようです。

亡くなってから、思い出すことが多くなりました。声までも鮮やかによみがえり、呼びかけられているような気持ちになります。と同時に、多くをいただいていたんだなと、今さらながら気付かされます。物質的なものではなく、心にかけてもらっていたという意味です。私は、その人と過ごす時間だけでなく、その人自身の存在を失ってしまったと思っていましたが、違うんですね。多くをいただいていたという事実は、その人たちが亡くなった今も、私の力になります。彼らを思い出すたびに、私にかけられていた気持ちを知らされます。

そう、今も私を支え、応援してくれているのです。思い出すところに出遇い、共に歩む、亡くなっても決して無くならない、いのちがあるんですね。

写真:Noriko Shiota Slusser

英月(えいげつ) 真宗佛光寺派長谷山北之院大行寺住職。江戸時代から続く寺の長女として、京都に生まれる。同業者(僧侶)と見合いすること、35回。ストレスで一時的に聴力を失う。このままではイカン! と渡米。北米唯一の日本語ラジオ「サンフランシスコラジオ毎日」でパーソナリティーを勤める他、テレビ、ラジオCMに出演。帰国後、大行寺で始めた「写経の会」「法話会」に多くの参拝者が集まる。講演会、テレビ出演、執筆など活動は多岐にわたる。最新著書『あなたがあなたのままで輝くためのほんの少しの心がけ』(日経BP社)

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