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入学に必要な予防接種と結核の検査 -矢野文子先生(小児科医)

2024.04.17

配信

入学に必要な予防接種と結核の検査

 新年度となりベイエリアに赴任して来られた方も多くなり、お子さんの予防接種などの問い合わせも増えています。日本はいまだに予防接種後進国であり、就学時に接種歴のチェックもありません。乳幼児期の予防接種のみ、やっと欧米並みになってきたものの、就学時に受けなければいけない予防接種の数も種類も少ないので、アメリカでの入学に合わせて追加接種が必要になります。なので、まず渡米されたらかかりつけとなる医師を探し、健康診断の予約を取ってその時にご相談ください。就学時に必要な予防接種は全米どこでも同じですが、入学時の書類は学区によって異なるので、健康診断の前に必ず用意しておきましょう。

 予防接種で特に問題になるのは水疱瘡ワクチンとMMR(はしか、おたふくかぜ、風疹)ワクチンです。どちらも2回の接種が必要となります。カリフォルニア州は予防接種に関して年々厳しくなってきており、以前は水疱瘡にかかったことのあるお子さんは「罹患したので予防接種は必要なし」と申告するだけで済んだのですが、現在では州保険局のCAIR-ME (The California Immunization Registry Medical Exemption)のサイトを通して証明を出さないといけなくなりました。しかも、水疱瘡にかかったと診断した医師の証明があるか、抗体検査で陽性という記録がない限り、予防接種の免除は許可されなくなりました。また、日本ではしかと風疹のMRワクチンは2回打っていても、任意接種のおたふくかぜワクチンが足りない場合が多いです。しかも、MMRに関してはたとえ血液検査で抗体が陽性であっても、2回の接種が必要となります。医学的には抗体がついていれば追加接種の必要性はないはずですが、現在の規定ではそうなっています。

 こういった規定は年々変わってきますので、こちらも頭を悩ますところです。結核の検査に関しては、数年前まではサンタクララ郡やミルブレー市などで全員に結核の検査が義務付けられていましたが、現在はハイリスクの生徒だけとなっています。日本は結核の多い国ではありませんので、日本生まれ日本育ちの方は、結核患者との接触など他のリスクがなければ結核の検査は必要ではありません。ただし、日本以外のアジアの国など結核の多い国に1か月以上滞在したことがあり、その後結核の検査を受けていなければ、ツベルクリン反応、または血液検査にて結核が陰性という証明が必要となります。

矢野文子(やの・あやこ)医師
東邦大学医学部卒業。日米小児科学会会員。米小児科認定医。旧日本小児科学会認定医。東邦大学第二小児科学教室に所属して東邦大学付属大橋・大森病院や国立精神・神経センター武蔵病院勤務等を経て、ニューヨークのコロンビア大学医学部に研究留学のため渡米。数々の試験や研修の後、2003年にベイエリアに移住し日本ベイクリニックに小児科医として勤務。医学博士号取得。NY州とCA州の医師免許あり。 

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