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子どもの便秘 -矢野文子先生(小児科医)

2024.02.14

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子どもの便秘

 ここ数年、便秘の子が増えています。

 健診時に「便通はどうですか」と聞いて初めて「そういえば便が固くて困っています」などと答えが返ってくるパターンが多いです。便秘を甘く見てはいけません。普段の生活でお困りでしたら、それだけで立派な受診理由になるのでひどくなって慢性化する前にぜひ相談していただきたいです。

 便秘というのは、便通が週に2回以下しかない場合をいいますが、回数や頻度よりも、硬い便が出る、時間がかかる、すごくいきまないと出ない、血が出るといった症状の方が重要です。1日に3〜4回便通があっても、兎の糞のように小さく硬い便がいきまないと出ないのは便秘、2〜3日に1回の便通でもバナナのような便がするっと出るのは便秘ではありません。

 排便時に時間がかかったり痛かったりすると、出すのがつらいからと便意のある時に我慢してしまい、次の排便時にはもっと苦労します。また、学校のトイレが嫌だ、と便意があっても帰宅まで我慢してしまうのもいけません。そうなると便はより硬くより出にくくなって慢性化してしまいます。

 医師に下剤を勧められて使っているという方もいますが、それだけではその場しのぎなだけで便秘を治すことはできません。

 まずは水分を十分に摂る、適度な運動が基本ですが、排便しやすい環境を整えることも重要です。たとえば、朝に便通があるお子さんだとしたら、登校前に焦らずに15分くらいはトイレでゆっくりできる時間を作ります。食後15〜30分くらいが腸がよく動き便が出やすくなるので、便通がありそうな日もなさそうな日もその時間帯にトイレに座る癖をつけるといいです。そしてその時間を確保できるように朝起きをさせて下さい。

 また、繊維質の多い物をたくさん食べさせましょう。生野菜サラダをもりもり食べさせるのは現実的ではないので、玄米、根野菜、果物、豆類、キノコ類を多く食べさせたり、プルーンジュースやドライプルーンを試してみてください。繊維質のサプリメント(グミなど)もたくさん市販されています。ただし宿便がある時は、繊維質の物をたくさんとっても便は詰まるだけです。まず宿便を取らないといけません。その時は市販の便秘薬を使いますが、飲ませ方がありますので医療機関にご相談ください。


矢野文子(やの・あやこ)医師
東邦大学医学部卒業。日米小児科学会会員。米小児科認定医。旧日本小児科学会認定医。東邦大学第二小児科学教室に所属して東邦大学付属大橋・大森病院や国立精神・神経センター武蔵病院勤務等を経て、ニューヨークのコロンビア大学医学部に研究留学のため渡米。数々の試験や研修の後、2003年にベイエリアに移住し日本ベイクリニックに小児科医として勤務。医学博士号取得。NY州とCA州の医師免許あり。 

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