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2022年を振り返って -寺尾先生

2022.12.23

配信

2022年を振り返って

 パンデミックが落ち着いてから初めての冬ということで、旅行をされる人も多いかと思います。私も飛行機に乗りながらこの原稿を書いていますが、満席な様子を見ると日常生活が戻ってきたと感じます。同時に、長かったパンデミックのメンタルヘルスへの影響は根強く、今も顕著に表れています。

 私は18歳以上の方を対象に、個人、カップル、家族単位で心理セラピーを提供しています。カップルセラピーの依頼が最近とても増えており、原因としてはテレワークの普及と家庭内のストレスの上昇が挙げられます。やはり四六時中顔を合わせるとけんかも増える。いくら仲良いパートナーがいても、個人として充実した生活をしていないと家族との関係にも影響が及びますが、家にいることが増えると私生活でそれも難しいという方も多いのではないでしょうか。

 個人セラピーのクライアントは日本人の方をはじめとしてアジア人の方々が多いのですが、自分の文化をどのように自分の生活の一部として受け入れるか悩む方も多いです。文化とは、生まれ育った国の文化だけでなく、「その人の生き方」です。生まれ育った家族、環境、学校や職場やコミュニティーを含む社会的要因、そして自分のアイデンティティーなどを含めた文化が今の社会とどのように折り合いがつくか。社会が急変する中でそれらを考えるのは楽ではありません。

 シニアの方のクライアントでは、やはりパンデミックで周りとの接点が減ったことで悩まれる方々が多いです。今でも健康面に対する不安も多く、まだ若い方にはあまりない悩みが顕著です。パンデミックは終わったこととして前進している社会に対して歯がゆい思いをする方ももちろんいます。身体的な変化も心理的な影響を及ぼします。

 まだ小さいお子さんたちの間では、友達を作ったり遊ぶことが苦手な子がパンデミック前よりも急増したと聞きます。SNS利用の増加や、対面で遊ぶことが減った時期が長かったことも原因でしょう。周りの大人が自身のセルフケアに努めつつ、社会としてこの失った3年弱を子供たちが取り戻せるよう協力することも大事だと感じます。

寺尾明希子(てらおあきこ)LCSW, PPSC, MA
カリフォルニア州公認心理セラピスト、臨床ソーシャルワーカー。サンフランシスコ大学で心理学の学士号、心理学の修士号、社会福祉保健学の修士号を取得。現在はサンフランシスコ、ベイエリアで、対面とオンラインの両方で心理セラピーとコンサルテーションを提供。専門は、うつ、不安、人間関係の問題、摂食障害。家族機能不全から発生するさまざまな症状を扱う。また、問題を抱える人の家族向けのコンサルテーションも行う。

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