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炎症と感染について -森田先生(歯科医)

2023.01.06

配信

炎症と感染について

 「歯茎が腫れた」「膿が出ている」ということを時々聞きます。口腔内は常に変化が起こる場所なので何が起こってもおかしくはありません。しかしその重篤度を把握しておかないと大変なことになってしまうことがあります。今回は重篤度の違いや原因などについて書きたいと思います。 

炎症

 歯自体は炎症を起こしませんが、中にある神経や周りの歯茎は炎症を起こすことがあります。歯神経が炎症を起こす場合は虫歯治療などで歯を削る衝撃や硬い物をうっかりかんでしまったことが原因であることが多いです。この場合は一時的に神経が炎症を起こして歯が敏感になりますが、時間がたてば元通りになります。歯茎の炎症の場合は細菌や磨き残しなどが原因で歯茎が赤くなり腫れ上がりますが、この炎症も歯磨きやフロスなどをきちんとすることで回復します。しかし長期間炎症が続いてしまうとその部分が酸化し、歯茎だけでなく周りの骨や組織などに影響が出てしまい、半永久的なダメージとなります。歯周病がその例です。歯磨き不足などが原因で最初は歯茎が炎症を起こします。その部分を早めに治せれば何もなかったように元通りになります。しかしその炎症している部分を放置していると酸化し、骨が溶けて歯周ポケットが深くなってしまいます。そうなった部分の炎症は普通の歯磨きなどだけでは対処できなくなるので、歯周病治療が必要になります。そしてその歯周病を完治したとしても炎症部分の歯周ポケットは元の状態に戻せません。その上、一度溶けてしまった顎骨は基本的に戻ってはこないです。炎症は基本的に原因を突き止めることができれば元通りになりますが、放置すると大変なことになってしまいます。

感染

 炎症ももちろん深刻な問題ですが、口腔内での感染はさらに深刻な状態だと思ってください。感染が起こる場合は何かが腐食していて、膿瘍が溜まっていることが原因です。「時々歯茎が腫れますが、膿が出ると落ち着きます」と聞くことがありますが、この場合は歯茎の下に大きな問題があると考えられます。可能性の一つは歯周病があまりにも進行していて骨が溶け膿が出ている場合、そしてもう一つの可能性は何らかの理由で歯の神経が腐食して、溜まった細菌が膿となって出ている場合です。他にも感染のシチュエーションはありますが、全てに言えるのがとても深刻な状態だということです。炎症の場合は良いホームケアもしくは注意深く対処することで元に戻せます。しかし感染が原因で膿などが出ている場所は治療しても元に戻すことが難しかったり、または早く対処しないと命に関わる大きな問題などにも関連したりします。

まとめ

 炎症や感染は自己判断で対処しない方がいいです。歯科医などで診てもらい、原因を突き止め推薦される処置をすることをお勧めします。炎症や感染は必ず痛みが伴うわけではありませんが、「血が出る」「膿が出る」だけで十分なサインです。このような症状があれば一刻も早く歯科医で受診することをお勧めいたします。 。

森田耕平(もりた・こうへい) D.D.S.

2005年のUC Berkeley大学卒業。2009年、ニューヨーク大学歯学部卒業。2010年からニューヨーク病院で研修を開始。口腔外科、審美歯科、小児歯科、インプラント治療について研究を重ねる。ICOI(International Congress of Oral Implantologists)、ITTI(International Team of Implantology)のメンバー。2012年クパチーノで開業。 

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