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糖尿病 -紀平先生-

2024.06.05

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糖尿病 -紀平先生

 糖尿病(Diabetes Mellitus)は、血糖値(グルコース、シュガー)が病的に高い状態を指す症候群です。

 膵臓から分泌される物質の一種に、血中の糖分をコントロールするインスリンというホルモンがあります。糖尿病は、このインスリンが分泌されない、あるいはインスリン抵抗性と過分な糖分の摂取によってインスリンの分泌が不十分となり、血中の糖分が異常に上昇する症候群です。1型、2型、その他と分類されています。            

 遺伝傾向が強いのは2型糖尿病で、多くの場合は成人におこり、最も多い型です。これはインスリンが十分に分泌されていないか、インスリンに対する体の感受性が低下した場合におこります。1型糖尿病は、インスリン分泌細胞であるβ-細胞がウイルスや自分自身の抗体で破壊され、実質的にインスリンが分泌されなくなった状態で、一般には小児に多いものです。症状は、口渇、多飲、多尿、疲労感、体重減少、視野のぼやけ、慢性的皮膚感染症、痒み等があります。1型で急性に発症する場合には、意識混濁、昏睡等の糖尿病性ケトアシドーシスの症状が加わります。

 一番怖いのは「無症状」かもしれません。無症状で気づかないうちに、あるいは症状があっても特に治療を受けないまま体中の微小血管が徐々に破壊され、目、腎臓を含む様々な臓器に重大な傷害をきたし、糖尿病性神経障害、網膜症、腎症を引き起こし、足指の壊死切断、失明、透析から腎移植にまで発展する可能性があるのです。

 その治療方法も日進月歩です。本来の血糖値をコントロールする目的が、体重減少に用いられ、大変な業績を上げている製薬会社もあります。日々の診療で遭遇するのは、いったん糖の値がコントロールされると、病気が治ったと思って治療をやめてしまう方が意外と多いことです。糖の値が良くなったのは薬や食事療法でコントロールしているだけで、それをやめてしまうと元の状態に戻るのです。また、日常的に持続可能な食事療法と運動療法を選ぶことなく、短期間に過剰な節制して結局続かないという方も多いのです。

 日本国内の患者数は、「糖尿病が強く疑われる者」は1000万人を超え、「糖尿病の可能性を否定できない者」も約1000万人いると推計されています。無症状のうちに発見し早めの治療が必要です。そのためにも、年に1回の健診は欠かせないものです。


紀平 昌保(きひら・まさやす)
医学博士。名古屋市出身。名古屋大学医学部卒業。旧日本整形外科認定医。日本での医師歴7年。1992年よりアメリカで診察。アメリカ家庭科学科学会認定医。ホームドクターとして全科(内科、小児科、外科、婦人科、整形外科、皮膚科、耳鼻科、眼科、泌尿器科、精神科)、健康診断・人間ドック、理学療法担当。


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