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食物アレルギー -紀平先生

2023.03.02

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食物アレルギー -紀平先生

 食物アレルギーは我々の日常の診療でよく話題になり、よく見かけるものです。親の15%までが自分の子供には食物アレルギーがあると信じているようですが、実に1〜3%ぐらいしか真のアレルギーは確認されていないのです。

 食物アレルギーとは特定の食品を飲食することでアレルギー状態が発生する免疫反応を言います。

 症状はショック状態になったり、喘鳴、意識がなくなって命にかかわるアナフィラキシー症状から、蕁麻疹、浮腫、発疹、かゆみ、腹部痛、下痢、吐き気、咳、鼻水、アトピー性皮膚炎等、多岐にわたります。それゆえ、食品不耐症や食品に含まれる物質の作用による反応あるいは好き嫌いと混同されることが多いのです。摂取後すぐに発症するアナフィラキシーショックから、遅発性で数時間以上経ってから症状が出現するタイプのアレルギーもあります。 

 幼少時では牛乳、卵、小麦、大豆、その後はそば、ゴマ、ピーナッツや他のナッツ類、えびカニの類、魚介類、キウイやりんご、オレンジ、バナナのようなフルーツ類が原因となります。アメリカのランチでピーナッツが結構好んで使われているようですが、このピーナッツアレルギーで命を落とすお子さんもいます。「そんなことで??」というわけですが悲しい話です。

 アレルギーの話をするとき、「まだアレルギー検査はしてませんが」というような言い方をされる方が意外に多いのですが、確かなのはどんなものを食べてどのような症状が出たかを把握するのがもっとも有効なアレルギー「検査」です。アレルギーを疑うような症状が出た場合には、その症状と食べたものを必ずメモしておくこと、また食べてから症状が出たときまでの時間、同じようなことがあったかどうかが最も信頼できる「検査」です。

 皮膚検査としては、スクラッチ、皮内検査、パッチテスト等があり、血液検査としては、IgEという免疫グロブリンを測る検査がありますが、これらの検査はたとえ陽性であっても、必ずしも、食物アレルギーとして症状を起こすわけではありません。

 アメリカ家庭医学会誌でも、特定の食品がアレルギーを起こしていると強く疑われない限りその食品に対しての検査をすべきでないと説いています。実際、日本でアレルギー検査を当然の如くされて来たお子さんでも、その検査の結果が予防にも、治療にもまったく役に立ってないケースをよく見かけます。

 何かのアレルギーを疑われている場合、一度主治医に相談され、もう一度この「アレルギー」というものを見直されたら如何でしょうか。


紀平 昌保(きひら・まさやす)
医学博士。名古屋市出身。名古屋大学医学部卒業。旧日本整形外科認定医。日本での医師歴7年。1992年よりアメリカで診察。アメリカ家庭科学科学会認定医。ホームドクターとして全科(内科、小児科、外科、婦人科、整形外科、皮膚科、耳鼻科、眼科、泌尿器科、精神科)、健康診断・人間ドック、理学療法担当。


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