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子どもの睡眠が乱れていませんか -柏先生(小児科医)

2023.06.14

配信

子どもの睡眠が乱れていませんか

 夏休みになると乱れやすいのが、睡眠のサイクルです。たかが睡眠、されど睡眠で、昨今は子どもの睡眠不足とさまざまな疾患に関連性が見られています。例えばうつや不安症、ADHD傾向、近視、発達や成長の遅れ、かんしゃくや問題行動などは睡眠不足が危険因子であると言われています。大人でも、肥満や生活習慣病、認知症、がんなどが睡眠の乱れと関連があります。今回は睡眠サイクルを整えるコツをお話しします。

 まずは睡眠の量の確保です。米国小児科学会は、1歳までは12〜16時間、2歳までは11〜14時間、3〜5歳は10〜13時間、6〜12歳は9〜12時間、13〜18歳は8〜10時間の睡眠をすすめています。この数字にびっくりされる方も多いと思いますが、今の子どもの睡眠がどれだけ理想より少ないかを示しています。

 睡眠を整えるために一番大事なのは朝の日光です。明るい照明でもなく、カーテンを開けるだけでもなく、直接日光を起床後1時間以内に浴びることで入眠が驚くほどスムーズになります。1万lux以上の明るさのlight therapyを使ってもかまいません。

 次に大事なのは入眠前のゆったりタイムです。入眠前数時間はスクリーンを見ない、激しい運動をしないなどのルールを設け、照明を落としてゆったりと過ごすことが大事です。疲れているのになかなか入眠できないお子さんは、寝る前に使う照明をブルーライトのないものにするとか、薄暗い部屋で過ごすことを試してみてください。ナイトライトでさえも睡眠ホルモンを劇的に減らしてしまうという研究結果もありますので、夜の光は睡眠の大敵です。

 体温のコントロールも気持ちの良い睡眠には欠かせません。入眠時に深部体温が下がることはよく知られていて、特に子どもにとって暑すぎるパジャマや寝室は入眠の妨げになります。入眠の1時間半前の入浴で体温をやや上げると、うまく熱が放出されて入眠しやすいとも言われています。逆に朝方は冷え込むと睡眠の維持が難しくなりますので、寒くならないように工夫がいるかもしれません。

 刺激の多い現代、子どもに良質な睡眠をとるスキルや睡眠がどれだけ健康に大事かを教えることがとても重要な時代だと思います。日光がさんさんと降り注ぐ夏に、ぜひ親子で睡眠サイクルを整えてみてください。

柏雪子(かしわ・ゆきこ)医師
アメリカ小児科学会認定医。茨木県出身。日本の高校卒業後渡米し、南カルフォルニアのロマリンダ大学医学部、同大学小児科の研修を修了する。ロングビーチ、サクラメントでホスピタリスト(病棟勤務医)の経験を経て、2015年3月より日本ベイクリニックに勤務。

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