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2024年版 風邪の予防法 -柏先生(小児科医)

2024.01.04

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2024年版 風邪の予防法

 新年明けましておめでとうございます。今年もベイスポ読者の皆様の健康が守られますようにお祈り申し上げます。

 さて、今回は誰でもかかったことのある風邪についてお話しします。知っているようで知らない風邪についてと、その予防の仕方について見ていきます。

 一般的に風邪と言われているものは、喉や鼻のウイルス感染症です。原因となるウイルスは200種類以上にのぼり、子どもが次々に違う風邪にかかってしまうのはこのためです。多くの子どもが一年に5〜7回風邪をひきますが、12回以上かかってしまう子も少なくありません。

 冬に風邪が流行るのは、乾燥と寒さが原因です。寒いと人は室内に密集しやすく、感染が増えます。体の粘膜が乾燥しているとウイルスが侵入しやすくなり、寒いと更に繁殖しやすくなります。風邪が他の人にうつりやすいのは、症状が出る直前から数日間の間です。たいていの人は何の治療もしなくても1〜2週間で症状が治っていきます。

 風邪は深刻な病気になることは少ないですが、学校や仕事を休んだり、薬を飲んだり医療機関に受診したりすることになり、生活や経済面の総合的な影響はとても大きいと言えます。風邪を防ぐ方法はないのでしょうか。

 風邪を防ぐための方法は様々な研究がなされています。メタアナリシスという世界中の研究をまとめたレポートによると、風邪の予防に有効なものは多くありません。一つは、手洗い、サニタイザーの使用、マスク、病気の人に近づかない、顔(特に目や鼻)を触らないなど、ウイルスを体に入れない工夫です。もちろん、かかっている人が咳をカバーしたり、鼻をかんだら手を洗うなども同様に有効です。もう一つは、亜鉛の摂取です。研究では5〜8歳の子で1日10〜15mg程度の摂取が評価されていますが、サプリメントなどで長期的に取る場合は主治医に相談しましょう。

 逆に、風邪予防に効果が期待できないのが、うがいや、ビタミンCやビタミンD、プロバイオティクスなどのサプリメントです。これらは一部の人には効果があるかもしれない、という程度のエビデンスしか今のところありません。抗生剤の摂取は、ウイルス性の風邪には効果がないばかりか、体に害がありますので気をつける必要があります。

 風邪から早く回復するためには、ゆっくり休んで水分と栄養のあるものを摂取するのが1番です。今年の冬もなるべく風邪で寝込むことのないよう、乗り切りたいものです。

柏雪子(かしわ・ゆきこ)医師
アメリカ小児科学会認定医。茨木県出身。日本の高校卒業後渡米し、南カルフォルニアのロマリンダ大学医学部、同大学小児科の研修を修了する。ロングビーチ、サクラメントでホスピタリスト(病棟勤務医)の経験を経て、2015年3月より日本ベイクリニックに勤務。

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